あの日あの時...あの場所で







「瑠樹、何かあったら直ぐに言えよ」

豪の言葉に、

「うん、分かった」

と頷く。


ごめんね、今は何も言えない。


「一人行動はすんなよ?」

と頭撫でてくれる豪の背徳心が沸く。


「うん、大丈夫。いつも、豪か咲留と一緒だもん」

震えそうになる声を押さえながら豪に伝える。


こんな時思う、私って嘘が苦手だ。



「ならいい。瑠樹が危ない事に巻き込まれさえしなきゃな」

ふっと表情を緩めた豪に、胸の中でごめんなさいと告げる。


豪を騙してまで、圭吾に会いに行こうとしてる私は罪深い。



「...豪、ごめんなさい」

どうしても謝罪の気持ちを伝えたかった。

豪に内緒で圭吾と会う事を言えないから。

敵対してる西のNo.2と会うなんて裏切りだよね、本当にごめんなさい。


「ん?どうした、瑠樹」

急に謝った私を怪訝そうに見つめる豪。


「色々心配かけてごめんねってこと。咲留に私の事を頼まれたりしなきゃ、余計な気苦労はなかったでしょ」

もっともらしい理由を付けて、ごめんなさいの本当の意味を隠した。


「んな事考えなくて良い。最初は咲留さんに頼まれてだったけど、今は俺の意思で...いや、俺達の意思で瑠樹を守ってるんだからな。お前が気に病む事はねぇ」

豪の言葉に胸が痛いよ。


思わず出た涙を止めらんなかった。


「ありがとう...豪」

嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが入り交じる。



「フッ...瑠樹は可愛いな」

豪はポロポロ涙を流す私を見て優しく微笑みを浮かべながら大きくて太い指で涙を拭ってくれる。


可愛くなんてないよ。

この涙だって、純粋なモノじゃないから。


だけど、お願い、今は気付かないで。

豪は何も気付かないままでいて。


皆の思いよりも自分の気持ちを優先してる卑怯な私を見つけないで.....。

豪に慰められながら、少しの間泣いていた。


バカな私はそれでも会うことを止めようとは思えなかったんだ。