あの日あの時...あの場所で







眠くなった私が豪に連れられて幹部室に帰った後も、外の喧騒は続いてた。

外から漏れ聞こえてくる声はどれも楽しそうで。


普段はヤンキーだとかって嫌煙されがちな皆も、蓋を開ければ等身大の少年なんだと思う。


見掛けで怖いだのバカだのと判断されちゃうのがもったいない気がした。


話してみれば、一人一人しっかりとした思いを持ってて良い人達ばかりだし。


皆の良いところを沢山の人に知ってもらえる日がくると良いな。



「瑠樹、疲れたか?」

隣に座る豪がぼんやりとしていた私の顔を覗き込む。


「あ、ううん。皆、笑ってて楽しそうだったなぁと思って」

皆の笑顔が素敵だった。


「フッ...あいつらは騒ぐの好きだからな。放って置いたら朝まで騒ぎやがる」

豪は迷惑そうに顔を歪めるけど、本当は迷惑だって思ってなさそうだ。


「朝までは体力持たないなぁ」

私には無理だよ。

今の時点で既に眠いもん。


「そりゃ瑠樹には無理だろ。美容にも悪いしあいつらの真似をすることはねぇ」

ガシガシと私の頭を撫でた豪。


豪の口から美容とか出てくるとか面白いし。



「確かに、徹夜なんてしたらお肌ボロボロになりそう」

考えるだけで怖い。

しかも、ここの所上手く睡眠をとれてないお陰で肌の調子が悪いから、他人事でないしね。


「瑠樹はしっかり食ってしっかり眠って大きくなれよ」

なんて良し良しと子供相手の様に頭を撫でる豪に、


「フンッ、どうせチビですよ。豪はデカすぎるのよ」

不貞腐れた私は唇をアヒルにした。

小さいのは分かってるし。


何を食べても、もう大きくなれないんだよ!


180センチを超えてる豪から見れば、小人みたいに見えるだろうけどね。


プンプンと怒る私に、豪は苦笑いする。


「ククク、悪い。冗談が過ぎた。瑠樹はこのサイズがちょうど良い」

こうやって抱けるし、と私を自分の膝の上に横抱きした豪。


「ひやぁ...」

突然なにするだ。


膝に座らされた事で豪を見下ろす形になったので、そのまま抗議の睨みをプレゼントした。