あの日あの時...あの場所で







辺りが暗くなって始まった花火大会。

強面のヤンキー君達が、子供みたいにはしゃいでる。


私はこの日の為に野外に特設されたソファーに座って、花火を持って追いかけ合う皆を眺めてる。


本当は花火を持って走っちゃダメなんだよ。

だけど、皆が無邪気にはしゃいでるから、今日だけは無礼講だと納得する。



「ひ、大翔さん、やめてくださいってば!」

学が半泣きで逃げ回る。


「ええやんええやん。逃げんなや」

いや、逃げるでしょ、普通。


大翔は両手に火の着いた花火を二本ずつ持って、学や東吾を笑顔で追いかけ回してる。



「ガキだな、あいつ」

私の隣に座る豪がビールの缶を片手に苦笑いした。


「大翔は永遠の子供ですからね」

はぁ...と視界の先の大翔を見ながら溜め息をついた夏樹。

ちなみに夏樹は対面の席に座ってる。


「ま、あれが大人になるとか想像できねーしな」

ククク含んだ笑みを漏らした豪。


「確かに。でも、楽しそうだよね」

走り回る大翔達を見ながら頷いた。


「瑠樹は花火やらねぇのか?」

と聞かれ、

「危なそうだから見てるだけで良いかな」

と笑う。


だってさ、大翔達だけじゃなくて、皆の取り扱い方間違ってるし。


うかうかあんな所に参戦したら火傷しちゃいそうだもん。


それに、側に行けば煙いけど、遠目で見てると綺麗だからね。



「そうか。だったら打ち上げ花火あげさせるか」

豪は私の頭を撫でると夏樹に目配せした。


「そうですね。贅沢なぐらい打ち上げさせましょう」

夏樹はそう言うと立ち上がって、花火をしてる皆の側に歩いていった。

皆は夏樹に何を言われると手を止めて動き出した。



集まってきた皆は、地面へと沢山の花火をセットしていく。


チャッカマンを持った二人が次々にそれに火を着けていく。


ヒューッ、ヒューッと打ち上がっていく花火。


パンと音が鳴って夜空に花を咲かせ始める。


色とりどりのそれはとても綺麗で、夜空を見上げていた私の瞳に次々と飛び込んでくる。


「うわ~綺麗」

自然と漏れでる言葉。


「気に入ったか?」

と聞いた豪に、


「うん、ありがと」

と答えた。


花火を振り回して走り回ってた大翔達も何時しか立ち止まって、次々と打ち上げられていく花火に目を向けていた。


夜空に開く光の花。


私は色んな事を忘れそれに魅入った。