振り返って見た大翔は、行かないでぇ~と片手をこちらに伸ばしてたので、小さくバイバイと手を振っておいた。
しゃがみこんで、痛そうにお尻を擦ってる大翔の周りには人が集まり出す。
「ダメっすよ、大翔さん」
建物の前で溜まってた幹夫が大翔に駆け寄り溜め息混じりにそう言う。
「ほんとほんと、瑠樹ちゃんを抱っこなんて出来ませんよ」
「あわよくばとか、無理ですよ」
学と東吾も座り込んだ大翔に手を貸しながら苦笑いする。
「たまには俺も瑠樹ちゃんを抱っこしたいねん。豪ばっかり狡いし」
唇を尖らせる大翔はまだ涙目で。
「まぁ、大翔さんに下心があるうちは無理じゃないですか?」
幹夫の正論に、周りに居た面子はウンウンと首を縱に振っていた。
「そんなんいつまでも無理やん。カンバック!瑠樹ちゃん」
と大翔が叫んだ時だった豪に抱っこされた私の目の前で建物のドアが閉まったのは。
遮断された視線と音。
大翔の声はもう聞こえない。
「ったくあいつはうるせぇな」
豪は溜め息混じりにそう吐き捨てる。
「あれはあれで面白いけどね」
豪の首に掴まったままフフフと笑う。
「フッ...まぁ、あんなのでも居ないと困るけどな」
と言う豪は大翔を信頼してるんだと思う。
「確かにね」
フフフと口角を上げた。
ガヤガヤしてた建物内。
私達の姿を捉えると一斉に挨拶してくる。
「「「「お疲れさまです」」」」
「ああ」
豪は素っ気ない返事を返す。
「こんにちはぁ」
私は笑顔で皆に手を振る。
すると豪に遠慮しながらも笑顔で手を振ってくれる。
この場所は相変わらず温かい。
咲留達が居なくなっても、それが変わらないことを嬉しいと思った。



