あの日あの時...あの場所で







明日...明日だ。


あの時の真実が分かる。


柊が私から離れた原因を知ることが出来る。


嬉しいようで怖いようで。

とても複雑な感情が入り交じる。



リビングのソファーに座って手の中の切れたばかりのスマホを見つめる。

明日の4時、西の灯台。


圭吾と約束した。

もう引き返せない。


私は真実を知りたい。

「...豪、ごめんなさい」

許しを乞う言葉が自然と漏れ出た。

誰にも拾われる事はないと言うのに.....。




ピンポーン

ドアフォンの音にピクッと肩を揺らす。

私は立ち上がると壁に備え付けられたインターフォンの画面を覗いた。



あ...豪だ。

えっ?もう迎えの時間?


腕時計を見て時間を確認した。


あらら、定刻通りだ。

ぼんやりしすぎだな。


あからじめ早く出掛ける用意をしておいて良かった。



「豪、すぐ降りるから待ってて」

ボタンを押して声をかける。

「ああ。分かった。慌てねぇからこけんなよ」

豪らしい気遣いに笑みが漏れた。


「うん」

返事をして通話を終了させた。


豪と合流する前に、圭吾と約束を咲留に伝えとかなきゃ。

手に持ったままのスマホを操作して短いメールを作成した。

咲留がいなきゃ明日の待ち合わせは成立しないもんね。



直ぐにOKの返事が帰ってきた事にホッとして、ソファーに置いてあった鞄を肩にかけて玄関から外に出た。



エレベーターのボタンを押すと直ぐに到着したそれ。

迷わず乗り込んで一階ロビーを目指した。


そう言えば、今日は夜叉の巣窟で花火大会とか言ってたよね。

大勢の人が集まるのかな?

本当は圭吾と会うことに罪悪感がやっぱりあるから、今日はキャンセルしようと思ってた。

ほら、やっぱり豪の顔見ちゃうとね。

心が痛むから。


でも、お昼前に帰っていった咲留に言われたんだ。

急にドタキャンするのは、逆に怪しまれるから行けって。


やっぱり豪達に明日の事は話せないしね。

秘密を守る為には、平静を装うしかない。


だから、今日はキャンセルしなかった。


私、上手く笑えるかな?

嘘とか隠し事とか、苦手だったりするんだよね。



ま、大勢人が居たら、気持ちも紛れてなんとかなるかな。


そうだと良いなぉ。


不安を胸に抱きながら、一階に到着するのをドアの前で待っていた。