あの日あの時...あの場所で






計画が上手くいって、緩む顔を止めらんなかった。


キング、余計なことかも知れないけど、これでなにかが動き出すよ。


俺は通話の切れたスマホをポケットに押し込むと物置を出た。


体にまとわりついていた埃をパンパンと軽く叩いて、幹部室に戻る。



ドアを開けた俺の目に飛び込んで来たのは、目を開けてこちらを見てるキングの姿。


えっ?何かバレた?

思わずドキッとしたけど、出来るだけ平静を装った。



「あれ?もう起きたんだ?」

白々しくないように声をかけながら、元のソファーへと歩いていく。

内心バクバクいってる心臓が痛い。



「ああ。別に寝てた訳じゃねぇ」

やっぱりか...ここで電話しなくて正解だ。


「ふっ...そっか」

ポスッとソファーに腰を下ろす。



「どこ行ってたの?」

と聞いたのは唯。


「なぁなぁ、新しい彼女か?」

とニヤニヤこちらを見てるのは礼二。


チッ...余計な事を聞いてくんなよ。



キングの探るような視線に気付かない振りをして、ラグに座ってる二人を見る。



「ああ。ついのこ間知り合った子なんだけど、今アタック中」

だから邪魔すんなよ、と二人を睨んだ。


「へぇ、圭吾にしては珍しいな。邪魔されたくねぇような女が出来たなんて」

こう言ったのは唯達じゃなくてキング。


俺もあんまり女の子とは深い付き合いをしないことを知ってるからね。


肩入れしてるのが不思議に思えるんだ。



「あ、まぁ、今回はちょっと本気だからな」

後頭部に手を当てて照れ臭そうに笑う。


ここでバレたら困るから、俺は芝居を続ける。


唯達と違って、キングは鋭いから気を付けないとな。



「へぇ~圭吾の本気の子みたい!」

唯、余計なこと言ってんな。


「っうか、本気の女とか面倒臭くね?」

礼二が信じらんないという顔で俺を見る。



「うっせぇよ。俺は俺の気持ちのままに動くんだよ」

本気の女とか、確かに面倒臭いけど。


これはキングの本気の子だから、放っておけないんだよ。


未だにキングの心を掴んで止まない瑠樹ちゃん。


二人の止まった時を動かすためなんだからよ。