あの日あの時...あの場所で





『圭吾君の知ってることを教えて』

瑠樹ちゃんの言葉に俺はクイッと口角を片方上げた。


「もちろんだよ。でも、電話で話せるような事じゃないから、何処かで会おう」

簡単に口にできる話じゃないし。


『うん。分かってる。圭吾君は何時だったら都合が良い?』

瑠樹ちゃんは俺と会うことを承知してたんだと知る。


「明日、明日の夕方はどうかな?」

今日は西の集まりがあるから無理だけど、明日なら問題ない。


『うん、良いよ。何時頃?何処で?』

「16時に西側にある岬の灯台はどうかな?そこなら人目につかないし、西なら瑠樹ちゃんの顔はあまり知られてないし」

本当なら南へ俺が行ってあげたいけど、俺は向こうじゃ顔がバレ過ぎてるし。

それなら、こっちに来てもらった方が確実だ。

狼王に邪魔されたくないしね。


瑠樹ちゃんの行動に彼等は目を光らせてるはずだから。



『分かった。16時に灯台だね』

「狼王の目を盗んでこちらにこれそう?」

彼女の側には常に奴が居るからね。

抜け出すのは至難の技だと思う。


『それは大丈夫。咲留が上手くやってくれるから』

「えっ?二階堂さん?」

『うん。咲留が協力してやるから行けって』

あの人が狼姫の背中を押してくれたのか。


マジで感謝だな。

あの人がついてるなら、彼女が狼王の元から抜け出すのも問題なさそうだ。



「でも、どうして...」

そこは疑問。

あの時、キングに怒りを露にしていたのに。


どうして背中を押した上に協力まで。



『咲留は私に知りたいことを知って、前を向いてほしいんだと思うの。どんなときも咲留は私の味方でいてくれるから』

シスコンの二階堂さんは、自分の怒りよりも瑠樹ちゃんの気持ちを優先か...。


ほんと、大した可愛がりっぷりだな。



「そっか、良かった。二階堂さんがシスコンで」

クククと笑う。


俺達の味方じゃなくても、結果的にあの人が瑠樹ちゃんとキングにチャンスをくれたのは間違いないしね。


『圭吾君達にまでシスコンがバレてるんですか?』

少し恥ずかしそうに聞いてくる瑠樹ちゃん。


「うん。超有名」

『...ま、マジかぁ...』

きっと電話の向こうで頭を抱えて項垂れてるであろう瑠樹ちゃんが想像出来る。



瑠樹ちゃんとは少しだけ世間話をして電話を切った。


俺の胸はざわめきたってた。


彼女をに真実を伝える事が出来ることの喜びで。