あの日あの時...あの場所で







キーンコーンカーンコーン

授業開始のチャイムが鳴る。


「おっ、行かなきゃなんねぇ」

奥野先生が慌てて机の上に置いてあった出席簿を手に取った。


「よし、ほな行こか」

いやいや、源次、どうして普通に行こうとしてんの?


源次の言葉に健もちぃ君も動き出す。


ちょっとちょっと、まさかクラスまで着いてくる気じゃないでしょうね。


「さ、瑠樹も行こう」

咲留はどうして手を指しだしてんのかな?


「遅刻するぞ?ジェンキンス」

奥野先生も、私に声をかける前に奴等を止めてください。


「先生、着いてくる気なんですよ、咲留達、良いんですか?」

ここは私がしっかりしよう。


「ああ、問題ねぇぞ?理事長からもくれぐれも頼まれてっし」

なんてないと言う具合に言われたけど...可笑しいからね、絶対。


まだ見ぬ理事長にちょっと殺意が沸いて来たよ。


「さ、行こうな」

呆然と立ち尽くす私の手を引いて歩き出す咲留は楽しそう。


「はぁ...もう好きにして」

ここは諦めるしかないようだ。


「先生方、お邪魔さまでした」

ひらひら手を振る健は呑気に笑ってる。


職員室の先生達が、居なくなることにほっとしと表情を浮かべたのは見逃さなかった。


咲留達、どれだけ嫌がられてんのよ。


絶対、私まで問題児扱いされるに違いないと自分のこれからに不安を抱いた。




奥野先生を先頭に三年の教室へ向かう。


明らかに可笑しな一行は、生徒達の注目の的で。


教室の窓やドアから、こちらを興味津々に見てる。


咲留達に向かう尊敬とピンクの視線。


もちろん、咲留に手を引かれて歩く私にも興味本意の視線は来るわけで。


居心地が悪くて仕方ない。

保護者同伴で、クラスに行くなんて晒し者以外の何者でもない。


本当、この人達は何をしたいのよ!


溜め息つきすぎで喉が乾いてきたし。


学校についたばっかりなのに、既に疲れてる私が可哀想に思う。