あの日あの時...あの場所で









「何かあったか?」

突然そんなことを言い出したのは咲留。


「へっ?」

ハンバーガーをかじりながら間抜けな顔をしたと思う。


咲留は手に持っていたカップを口に当てて一口飲むと、静かにテーブルに置く。

そして、私の目を見つめた。



「目がウサギになってる」

切れ長の瞳が私の真意を探ろうと射ぬ射てくる。

その辺のお姉さん達なら、この瞳を見たらドキドキしちゃうんだろうね。


兄妹である私は、違う意味でドキドキしてるけど。

もちろん、咲留の鋭さに。


「あ...顔洗ったからじゃない?」

サラッと交わさなきゃ。

咲留にバレちゃう。


私の嘘は昔から咲留に良く見抜かれるんだよね。



「んな訳ねぇだろ?顔を洗ったぐらいでそんなに目が赤くならないぞ」

ちょ、ちょっと、テーブルに身を乗り出して顔を近付けてこないでよ。


鏡の前で確認したのに、そんなに目立つほど赤くなんてないよね。


「さ、咲留の気のせいじゃない」

ヤバイよヤバイよ。

咲留は引き下がってくれそうにない。


「はぁ...瑠樹。お兄ちゃんにはお見通しだぞ」

人差し指を私の目の前に突きつけた咲留。


「.....」

「可愛い瑠樹の変化には誰よりも俺は敏感になれる。だから俺に秘密なんて無理だ」

ちょっと、変態チックなことを胸張って言わないで。


「...キモい」

思わず漏れでる。


「キモいとかお兄ちゃん、泣いちゃうぞ」

泣き真似とか止めて。

咲留ってばシスコンな事を覗けばイケメンで完璧な男なのに残念だよね?


「泣けば良いと思う」

いや、これ本気。


「瑠樹のそんなツンな所も可愛いよなぁ」

ニマニマ笑うな。

咲留ってばいつもこれだし。

でも、このまま話を逸らせそうだから利用しちゃおう。


「咲留は私にばかり構ってないで彼女作りなさいよ」

良いお年頃なんだからね。


「無理。瑠樹より可愛い子で、俺の瑠樹好きを理解できる子じゃないとな。シスコンバンザーイって言ってくれる子」

「...いや、それは普通に無理」

私より可愛い子は沢山いるけど、こんなシスコンを許せる彼女は居ないと思う。


だいたい、シスコンバンザーイってなんだ?


はぁ...朝から疲れる。


だけど、咲留のおかげで気分が上がったよ。