あの日あの時...あの場所で





二本の指を使って便箋を取り出す。

丁寧に四つ折りされたされたそれは、あんまり圭吾らしくなくてちょっと笑えた。


「フフフ...」

彼がどうしてこんな手紙を送ってくるのかは分からないけど、きっと何かしらの意味を秘めてる。


柊をキングと慕う圭吾が意味のない行動をするとは思えないから。


豪達と旅行に行った時も危険を犯してでも私の前に現れて連絡先を渡してくれた。

ま、結局私は圭吾に連絡をすることは無かったけど。


私は簡単に行動できるほど簡単な立場にいない。

豪の側で豪達に守られると言うのはそう言う事。



さすがに手紙を渡されちゃ読まない訳にはいかないなぁ。

圭吾も考えたよね?


私はゆっくりと四つ折りの便箋を開いた。


そこには男の子とは思えないぐらい綺麗な字が綴られてた。




[瑠樹ちゃんへ]


まずは手紙を読んでくれてありがとう。

俺はどうしても君に伝えないといけない事がある。

キングが...いや、柊が望んだ訳ではないけど、俺は当事者の君が知らないのは不公平だと思うから。

君は過去の話を聞きたいと思わない?

どうして柊が君の元を去ったのかを。

そして、今みたいに女ったらしになってしまった原因を。

君は勝手だと思うかもしれないけれど、柊は君を裏切った事を今も苦しんでる。

俺はあいつの苦しい胸の内を聞いて居ても立ってもいられなくなった。

手紙には書くことじゃないから、瑠樹ちゃんに直接会って伝えたい。

ガードの厳しい君にはこんな風に手紙を届けるしか出来なかったけれど、君さえよければ会う時間を作って欲しい。

迷惑な頼みだって分かってる。

でも、どうか連絡をください。




圭吾の手紙に胸がドキドキした。

それは良い意味じゃない。

動悸と言った方が近い気がする。


柊が私から離れた理由?

柊は今も苦しんでる?


どうして?なぜ?


何も分からない私の頭は混乱する。


圭吾は何を知ってるの。


私に何を伝えようとしてるの。



手紙を掴む手に力が籠った。

カタカタと震える体。


私はどうすればいいんだろうか。