「私達は圭吾なんて関係なしに仲良くしましょうね。もう一年早く編入してくれたら学校生活を一緒に過ごせたのにね、残念」
小西さんは本気でそう思ってるらしい。
「あ、なんか良く分からないけど。ありがとうございます?」
首を傾けた。
「んもう!可愛いぃ~」
やや暴走気味の小西さんは、私の手を離すと抱き付こうと手を広げた。
バタンッとドアが物凄い音を立てて開く。
「瑠樹に気安く触んじゃねぇ」
教室の窓のガラスを震動させてしまいそうなほど低い声と同時に豪が現れた。
「あっちゃ~お迎え早~い。残念」
豪の方をチラッと見て私へと視線を戻した小西さんは、ペロッと舌を出した。
そんな小西さんを無視して豪はズカズカと歩いて来ると、私のお腹に腕を回して抱き寄せた。
豪の胸元にぶつかった後頭部。
「なにもされてねぇか?」
上から降ってきた心配そうな声に、
「小西先輩とお話してただけだよ」
と上を見上げて答えた。
チラッと見えた豪の顔は心配そうに歪んでいて、余計な心配をかけちゃった事に罪悪感が沸いた。
そして、スカートのポケットの中でカサッと音を立てた手紙の存在にも...。
豪にこの手紙の事を伝える気はない。
...ごめんね、豪。
胸は痛むけど、どうしても伝える気にはなれないの。
「前生徒会長がうちの姫にどんなご用でしたか?」
豪の後ろから現れた夏樹がクイッと眼鏡のブリッジを押し上げて小西さんを射抜く様に見た。
「そんな風に睨まなくても、普通にお話をしてただけよ」
ね?瑠樹ちゃんと私を見た小西さん。
「はい。豪達が心配するような事は何もないよ」
隣に並んだ夏樹にそう告げる。
本当に何も無かったしね。
だけど、豪と夏樹は小西さんに伺うような視線を向けることを止めない。
「学校に用事があったついでに、噂の狼姫とお話してみたかっただけよ。そんなに敵意を向けなくてもなにもしないし。第一、私は瑠樹ちゃんのファンになったもの」
こんな可愛いなんて反則、と言って私に微笑んだ小西さんに豪と夏樹は苦笑いした。
小西さんが嘘をついてない事は彼女の瞳を見ればすぐ分かるものね。



