あの日あの時...あの場所で






「邪魔者が来る前に、先に渡しておくね」

近付いてきた小西さんはポケットからそれを取り出して差し出した。


「あ、はい」

受け取ったそれは二つに折り畳まれた白い封筒。


「圭吾のバカが急に頼んで来たの。突然ごめんね?」

申し訳なさそうに眉を寄せて苦笑いした小西さんの口から出た名前に、ああ..ね、と思う。


「...やっぱり」

と咄嗟に出た言葉は、


「あれ、気づいちゃってた?」

と驚いた顔をした小西さんに拾われた。



「小西さんは誰かに似てるなぁと思ってたんです。圭吾君の名前を聞いて合点が行きました」

「ええ!圭吾になんて似てた?」

嫌だなぁと本気で嫌そうにする小西さん。

似てるなんて余計なこと言っちゃったかな?


「あ..目元が少しだけです」

性格も少し似てると思ったのは秘密にしよう。


「フフフ、気を使わせてごめんね。似てても仕方ないよね。従兄弟だからね」

「なるほど、従兄弟なんですね」

「そうなのよ。うちの父親と圭吾の父親が兄弟なんだ」

ほほぉ...そう言う繋がりなのね。


だから圭吾は王凛の卒業生である小西さんに橋渡しを頼んだのか。



「あの軽い圭吾が珍しく真剣だったから、良かったら読んでやって。私に頼みごとしてくるなんて余程だと思うし」

優しい顔をした小西さんは、何だかんだ言っても圭吾を可愛がってるんだと思った。


「...はい」

受け取ったからには見ないと言う選択はない。


こうやってわざわざ来てくれた小西さんに申し訳ないし。



「あ、でも読んだからってあのバカの思うように動かなくて良いからね。瑠樹ちゃんは瑠樹ちゃんの思うようにすれば良いのよ」

この人は凄く良い人だと思う。


「そうします」

受け取った手紙をポケットにしまった。



「もし圭吾が瑠樹ちゃんに無茶な事を言ってくるなら、私がぶっ飛ばしてあげるからね」

「えっ?」

目を丸くした私にフフフと微笑むと前髪をかきあげた小西さんは、

「だって、瑠樹ちゃんてばこんなに可愛いんだもん。断然味方になっちゃう」

と私の両手を掴んで上下に振った。


「えっと...あの?」

なんだか良く分からないけど好かれたらしい。


ってか、この人凄く綺麗だよ。

近距離で見るとそれが良く分かる。