あの日あの時...あの場所で




周囲の興味津々な視線が私とコスプレ会長に集中してる。

チクチクとウザったい視線に、うんざりした顔になるのは仕方ないと思う。


周囲をゆるりと見渡して小さく溜め息をついた。


「このままここに居たら目立っちゃうわね」

私と同じ様に周囲を見渡したコスプレ会長は困ったように眉を下げた。


「...あ、ですね」

「じゃあ歩きながら話しない?」

「...歩きながらですか?」

正体不明の人とどこかに行くのは、さすがに不味いかなぁ。

護身術はつかえるからいざとなれば戦うけど、皆に心配かけるのはダメだもんね。


私の判断で勝手な行動は慎まないと...だし。



「あ、ごめん、私はまったく怪しくないからね。自己紹介が遅れたけど私は小西晴美、前年度の王凛の会長をしてたの。だから、得たいの知れない人物じゃないわよ」

私の困惑を感じ取ったのか自己紹介してニコッと微笑んだコスプレ会長...改めた小西さん。


王凛の会長をやってた人なら身元もしっかりしてるし、生徒達の人望も有るだろうし、少しぐらいなら大丈夫かな。


それに、これ以上ここで騒ぎを大きくしたら豪達がやって来そうだしね。


見た感じ、この人が私に用事があるのは間違いないだろうから、逃げるのもヤだしね。


変なプライドが私に小西さんと歩く事を決めさせた。



「分かりました。ご一緒します」

頷いて微笑んだ。


「信用してくれてありがとう。嬉しいわ」

そう言った小西さんと一緒に集団を抜けて廊下を歩き出す。


「すみません、先にさっきの友達にメールして良いですか?」

スカートのポケットからスマホを取り出して隣を歩く小西さんに尋ねる。


楓が戻ってきて私が居ないと心配かけちゃうからね。



「ええ、どうぞ」

綺麗な微笑みを浮かべた小西さんはゆるりと頷く。


「ありがとうございます」

そう返して、スマホの画面をタップした。


[小西元会長と少し校内を散歩してくるから教室に先に戻って、心配はありません]

簡単な説明文を送信した。


これで大丈夫でしょ。


ポケットにスマホをしまいこむ。



さて、この人の目的は何かな?

特に悪いイメージはないけど、私に用がありそうだよね。



靴音を鳴らして廊下を進めば、生徒達の数は少なくなっていく。

それは教室棟から離れて行ってるって事で。


小西さんはどこの向かおうとしてるんだろうか?


ま、ウザい視線が消えてくれないと何も話せないんだろうけどね。