あの日あの時...あの場所で





休み時間の廊下は生徒で賑わってる。


向けられるのはいつもの視線。


こちらに視線を向けてはヒソヒソと話す女子の集団に辟易する。

毎度毎度ご苦労さま。



「こそこそ煩いなぁ」

私の隣を歩く楓が女の子達を睨み付ける。

睨まれたら慌てて追いかけてくる知らん顔する女の子達。


バツが悪そうに視線を背けるなら、初めからジロジロ見なきゃ良いのになぁ。



「いつもの事じゃない」

楓を諌めながらトイレを目指す。


「そうなんだけどさぁ。見てくんなっての」

楓は彼女達の視線が相当気にいらないらしい。


「フフフ...楓は短気ね。梅が居たら怒られるよ?」

梅はこんな風にキレる楓をいつも叱ってる。


無視してりゃいいでしょ!って。


確かに気持ちの言い視線じゃないけど、見たい奴には見せときゃいいし、言わせとけばいいと思う。


いちいち構ってたらキリないし。


こちらから、相手を挑発する必要なんてないもんね。



「わ、分かってるけどさ。ムカつくもん」

ま、ムカつくけどさ。


「言いたい事もはっきり言えない連中を構ってたら、同じレベルになるよ」

チラッと周囲を見渡した。


次々に視線を避けていく生徒達が滑稽だ。



「は~い。相手にするの止めま~す」

テヘッと笑って手を上げた楓はおどけてみせる。


「フフフ...楓ったら相変わらずだね」

楓のこんなムードメーカー的な所に少なからず救われてる私が居る。


気を取り治して、トイレに向かった私達。





もう少しでトイレに着く辺りで、何やら騒がしい集団を見つける。

女の子達が誰かを囲んで騒いでるらしい。


「ああ言うの迷惑なのよね。廊下の真ん中ですんなし」

集団をジロッと睨む楓。


「端をすり抜けるしか無いわね」

楓の言うように、集団は周囲を気にすることなく廊下のど真ん中でペチャクチャと喋ってる。


あれも一つの女の子心理なんだと思うけどさ。


関係ない人間にとったら迷惑以外の何物でもないよね。