あの日あの時...あの場所で









「この借りは高くつくわよ」

王凛高校の制服に身を包んだ晴海はニヤリと計算高い顔をして笑う。


その手には俺の預けた手紙。


「分かってるって。コスプレまでしてもらってるしな」

とニヤリと笑い返す。


「はあ?何がコスプレよ?去年までこれを着て通学してたし」

俺の言葉に不服そうに唇を尖らせて抗議する晴海。


「その頃からコスプレっぽかったよな?...ってぇ」

なんて笑って珈琲を飲んだ俺はテーブルの下で晴海に脛を蹴られた。


ローファーのつま先ってなにげに痛いんだけど。


ダメージに顔を歪めて脛を擦った。

もちろん晴海に恨みがましい視線を向けて。


「フハハ...ざまぁ」

孤高の笑みを浮かべた晴海は、すくっと立ち上がった。


「圭吾とバカやってると時間無くなるからもう行くわ」

「...ああ。頼む。本気で頼りにしてる。これからの未来が晴海にかかってる」

今までとは違う真面目な顔で晴海を見上げる。


「ちょ、ちょっとプレッシャーかけないでよね?」

神妙な面持ちでふぅっと息を吐いた晴海は、じゃあね?と背を向けた。


「よろしく頼む。店の前に車を待たせてあるから王凛まではそれ使ってよ」

晴海の背中にそう声をかけた。


「了解!気が利くじゃない?」

一度振り返って微笑んだ晴海は今度こそ店を出ていった。


店内から晴海が俺の用意した車に乗り込むのを見て、ほっと息をつく。

ここから先は一か八か。


上手く晴海が手紙を渡してくれたら、後は瑠樹ちゃんが行動を待つしかない。


前みたいにスルーされちゃったらもう打つ手は無くなってしまう。


南の狼王は夜叉の巣窟を支配下に納めてしまったからね。


瑠樹ちゃんに近付くのは容易じゃ無くなったんだ。

あの場所に囲われてしまうと、こちら側から接触するのは厳しい。


だから、瑠樹ちゃんからこちらに来るように仕向けるしかない。


晴海頼んだぜ?


祈るような気持ちで晴海を乗せた車を見送った。






圭吾side.end

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