あの日あの時...あの場所で







「分かった。やってあげる。この子はどうやって探せば良いの?」

頷いた晴海はスマホを俺に戻す。


「王凛に行けば彼女は直ぐに見つかると思うよ。なんてったって狼王が大切に守ってる狼姫だから」

フフフ、簡単でしょ?と笑った俺に晴海は目を丸くした。


「はぁ?この子が噂の狼姫なの?また、面倒な所に手を出すのね」

呆れた顔で俺を見る。


OBの晴海達にまで存在の知られてる狼姫。

さすが瑠樹ちゃん、凄いよ。



「晴海も狼姫の事知ってたんだ?」

「OBの私達にも狼姫が出来たって話は届いてるわよ。凄い可愛い子で、あの冷たい狼王が優しく守ってるって」

「瑠樹ちゃんって言うんだけどね?二階堂咲留の妹なんだよ、彼女。」

正体を教えとくね。

後で腰抜かすと困るから。


「...っ..うわ、ますます面倒な存在じゃない、彼女」

去年まで南に住んでた晴海なら、夜叉の巣窟の二階堂咲留を知ってるもんね?


「ま、確かに面倒な存在かもね。彼女は誰からも愛されて守られてるから」

彼女に接触するのはリスクを伴う。

だけどそれを犯しても俺は小さなきっかけを作りたい。



「彼女と接触するリスクを承知で行動に移すのは、よほどの決意なのね?」

晴海がゴクッと唾を飲んで俺を見た。


「うん、どうしても彼女に伝えたい事があるから。彼女と接触出来るなら南との全面戦争もいとわない」

遅かれ早かれ南とはやり合う事になるしね?と微笑んだ。


「...はぁ、仕方ない。圭吾の決意に免じて行ってくるわ。着替えてくるから私のスマホに狼姫の写真を転送しといて」

そう言って椅子に乗せてあった紙袋を掴むと立ち上がった晴海。


「OK!送っておくよ。あ、写真は悪用しないでよ」

悪戯っ子みたいに笑ったら、


「バカじゃない?悪用なんてしないわよ。そんなくだらないことをして、南と西の頭を敵に回すほど私は愚かじゃないわよ」

と俺を睨み付けて化粧室へ向かった。


確かに晴海の言う通りだな。


瑠樹ちゃんに何かするって事は、もっとも怖い事態を引き起こす事になる。


それに彼女の為に動くのは狼王やキングだけじゃないしね。