あの日あの時...あの場所で






学校の側の喫茶店。

店内に入って目的の人物を探す。

早めについたみたいだな。


良かった、と胸を撫で下ろす。

あいつ、本当に煩いんだよな。

でも、信用できて一番頼れる人物はあいつしか居ねぇし。



「おっそいのよ!」

背後から掛けられた声と、ポンと叩かれた肩。


振り向けばそこに居たのは従姉どの。


その手にはドリンクバーのコップ。

ヤバイなぁ、先についてたか?


「...遅くなってごめん」

素直に謝っておく。


「ふん、呼び出しておいて遅いとかないわ」

毒を吐く従姉は意地悪く口角を上げる。


「まぁまぁ、怒らないで座ろう」

お願い事を早く言わなきゃ時間がないからね。

叱咤は後程聞くからさ。



「...チッ、こっちよ」

うわぁ、不機嫌な舌打ち。


グラスを持ったまま自分の座る席に案内するために背中を向けた従姉についていく。


ざわつく店内を縫うように歩く。


学校の側だけあって、授業をサボってる生徒の姿もちらほら見える。


うちの学校、結構自由だからね。


壁際の二人掛けの席に座った従姉の対面に腰を下ろした俺。

すんごい睨まれてるんですけど。


注文を取りに来た定員にオリジナルブレンドを注文して、従姉にへらりと笑った。


「持ってきてくれた?」

「持ってきたわよ」

ブスッとした顔でそう答える従姉。

ちなみに名前は晴海(ハルミ)、一歳年上の父方の従姉にあたる。


「時間がないから、すぐに説明するけど。どうしても晴海にやって欲しいことがあるんだ。かなり重要な任務だからね」

真剣な顔の俺を怪訝そうに睨む晴海にそう言った。


「...召喚なんてふざけたメール送っておいて重要なの?」

呆れたように言われた。


「ま、そこは忘れて」

アハハと笑った俺に、

「はぁ...面倒くさい」

と大きな溜め息をついた晴海。

 
「持ってきてもらった去年まで着てた制服を着て、王凛高校に潜入して欲しい。今日は進路指導日で午前中は生徒達が出席してるはずだから」

「はぁ?」

うぁ、嫌そうな顔してる。

晴海は去年、王凛高校を卒業した卒業生。

だから、制服を持って来て欲しいってメールした。


ほら、制服着てた方が王凛に潜入しやすいだろうし。