あの日あの時...あの場所で










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あ~ぁ、蒔いた種も実らないねぇ。


屋上のフェンスを掴んでグランドを見下ろしながら溜め息をつく。


柊も思いっきりフライングしちゃうし。


俺の計画では、柊の過去を知って貰って徐々に距離を縮めようと思ってたのに。




「おい!セカンド、ボヤボヤしてんな!」

暑い中グランドで青春に勤しむ野球部キャプテンの怒号が響いてる。


「屋上まで聞こえるとかどう?」

まったく暑苦しいねぇ。


おおっと、野球部ナインに叱られるね。

 

俺は体を反転させて、貯水タンクの影に隠れて眠る柊へと目を向けた。


呑気に寝てる場合じゃないからね?


一昨日の件で南の狼王も彼女自身も警戒を強めちゃってるのは間違いないんだからさ。


彼女から連絡をくれないと、物語は進展しないってのに。



「はぁ...」

俺は溜め息をついて、額に滲んだ汗を手の甲で拭った。


もう一度だけ種蒔きしよう。

彼女はきっと揺らいでるはずだから。


俺は柊をもう一度だけ一瞥して足を進めた。


キィーと軋んだ音を立てて屋上のドアを開ける。


今日が最後のチャンス。


それを逃せば、瑠樹ちゃん接触するチャンスは夏休み明けまで無くなってしまうからね。


進路指導の為の登校日で午前中は彼女は学校に居るはずだ。


さすが、進学校。

悪名高い狼王が居ても、学力向上の指導は怠りないねぇ。


屋上を出て、ポケットの中のスマホを取り出した。


今日のミッションの適任者を召喚しよう。



「出でよ!」

な~んちゃって、フフフと笑って手慣れた手つきで操作したスマホを掲げた。


召喚した適任者に会いに行くために俺は急ぎ足で階段を掛け下りた。


呼び出しておいて待たせたりしたら、大目玉食らうからね。



うちの従姉どのは、かなり手厳しいから。


さてさて、今度の種蒔きはしっかりと実るかな?