あの日あの時...あの場所で








目が覚めたらベッドの上だった。


黒いシーツに黒いタオルケット、薄暗い青がそれを照らし出す。


私はゆっくりと上半身を起こして、周囲を見渡した。


見たこともない部屋に少しだけ不安になる。


確か、豪の隣でジュースを飲んでたはずなのに、私はどうしてこんな場所に居るんだろうか?


引き渡し式はもう終わったのかな?


部屋に一つだけある窓から見えるのは、夜の帳の降りた海。

大きなキングサイズのベッドの上を這うようにした降りると、ベッドの側の窓を開けた。

むわんと暑い空気が私を包む。


クーラーの掛かった部屋に入り込もうとする生温い風に思わず窓を閉めた。


「夏の夜は暑いなぁ」

ちっとも気持ちよくなかった海風を残念に思った。


海から上がってきた風は湿気を含んでいた上に、生温く気持ちの良いのもじゃなかったから。



はぁ...大きな溜め息をついて、ポスッとベッドに座った。


窓から見た景色から、ここが倉庫の一室だと言うのは分かった。


この場所に運んでくれたのは、十中八九豪で間違いないと思う。


せっかくのお祝いなのに途中で眠っちゃうなんて悪いことしたなぁ。

夜中の12時を回って眠気に勝てなかった私はお子様だ。


いや、騒いでいられる皆が凄いのかも知れないね。


座ったままの状態から、上半身をゆっくりと後ろへ倒してベッドに背を預けた。


視界に捉えたのは高い天井と、妖艶な優しい光を放つ青い電灯。

青と黒に支配されたこの部屋は、まるで夜の海だ。


豪の部屋だろうと推測できる。


だって、この配色は豪そのものだと思うから。



「こんな部屋あったんだなぁ」

って言うか、シーツとか新品ぽいんですけど?


私が寝ちゃって良かったの?


ま、もう寝ちゃったので、今さらなんだけどね。