「西のキングは、まだ瑠樹を思ってるんでしょうか?」
だったら、瑠樹はどうするんだろうか?
きっと、瑠樹は今もあいつを...。
「さぁな?自分のモノだったのが今は豪の側にあるのがきにくわないのか。それともまだ心を残したままなのか。いずれにしても、今更瑠樹に近付くのは自分勝手過ぎんだろ?」
再び海に視線を向けた咲留さんの横顔は苦しそうに見えた。
この人もまた瑠樹の気持ちを感じ取ってるからだろう。
「確かに都合良すぎますね」
俺が頷くと咲留さんは大きな溜め息を漏らした。
「柊を排除することが正しいとは思ってねぇ。だけど、どんな理由があったにしてもあいつが瑠樹を悲しませて苦しませたのは間違いねぇんだ。俺は瑠樹のあんな顔もう見たくねぇ。」
「.....」
咲留さんの表情は苦渋に歪む。
「あいつは瑠樹を捨てて他の女に走った。それも不特定多数。そんな薄汚れた手で瑠樹に触れさせたくねぇ。純粋な瑠樹を汚されたくねぇ」
俺の勝手な思いだけどな?と少し寂しそうに吐き出した咲留さんは、瑠樹の事が大切で仕方ねぇんだろうな。
「...西の動きには気を配っておきます」
今、俺が言えるのはこれぐらい。
だって、今の俺はただの護衛。
瑠樹を縛る権利なんてねぇから。
だけど、悠長なこと言ってらんなくなったな。
瑠樹早急に俺を男として意識してもらわねぇとな。
柊なんかに渡して堪るかよ。
「豪、瑠樹を頼む」
「はい、もちろんです」
「瑠樹があいつを忘れて豪を選んでくれたら丸く収まんのにな」
空を見上げた咲留さんがポツリと漏らす。
瑠樹の思いを痛いほど感じてる咲留さんだから、この人もた苦しんでるんだと思う。
「俺も瑠樹に好かれてぇ」
咲留さんと同じ様に空を見上げた。
無数の星が輝く夜空が悲しげに瞬いていた。



