あの日あの時...あの場所で








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夜遅くまで続く宴会。


兄貴達大人組はすっかり出来上がってて。

あのテーブルだけ酒臭せぇ。


あぁ、俺も飲みてぇな。

普段、普通に飲んでんのにソフトドリンクで過ごすのはちょっとうぜぇ。


ま、警察の査察があるかも知れねぇと情報が入ってるのに、下手を打つことも出来ねぇんだけどよ。


ふっ...ま、うちの連中は酒が無くても楽しそうにやってるから良いか?

そんな事を思いながらボンヤリしてた俺の胸にトンと小さな衝撃。


ん···なんだ?と思って視線を落とせば、瑠樹が俺の胸に頭を預けて眠ってた。


ソファーに座って足の間に座らせてた瑠樹は眠気に勝てずに寝ちまったみたいだな。


小さい体がずり落ちないように腰に回していた腕に力を込めて起こさないように引き上げる。


軽くて小さい体はスッポリと俺の腕の中に収まる。


マジで小せぇな、無邪気に眠る瑠樹の横顔に思わず口元が緩む。


女をこんなにも愛しいと思う日が来るなんてな。


女なんて、すぐに泣くし我が儘で煩くて鬱陶しくて、面倒臭い存在でしか無かったのに、瑠樹はそんなのに何一つ当てはまらねぇ。


大切に守りたい存在。


困ってたら助けてやりてぇし、泣いてたらその涙を拭ってやりてぇ。


無防備に眠る瑠樹はきっと俺を意識なんてしてねぇだろうけどな。


規則正しい寝息に耳を傾ける。


いつまでも、俺の腕の中に居てくれねぇかな。


直ぐに好きになってくれなくてもいい。

ゆっくり俺に侵食されてくれりゃいい。




「眠ってしまわれたんですね?」

夏樹が慈しむような視線を瑠樹に向ける。


「ああ、もう12時回ってるからな。眠気に勝てなかったんだろう」

俺は瑠樹の長い髪を撫で付ける。


「寝顔も可愛いやん。瑠樹ちゃんてほんま天使やな」

二ヘラと顔を緩める大翔。


天使...か、確かに天使だな。

起きてる時は気が強い上に毒も吐くけどな。



「天使に何かかけるものを持ってきましょうか?」

と立ち上がろうとした夏樹に、


「いや、もう少ししたら二階の仮眠室に連れてく」

と階段の上へと視線を向けた。


二階にはさっき俺達が集まってた部屋以外に、仮眠室がある。

俺専用にシーツもベッドも入れ換えたばかりだから、瑠樹を寝かせるのに調度良い。


チラッと咲留さんを見る。

あの飲み方じゃまだ帰らねぇだろうしな。


宴会と化した引き渡し式もまだまだ終わりそうにねぇし、座ったまま眠ってるより横にしてやる方がいいだろう。