あの日あの時...あの場所で








「もちろん守ります。瑠樹を苦しめる全ての物から。だから、安心して卒業に向けて課題こなしてください。瑠樹は俺達が大切に守ります」

ああ、豪はちゃんと咲留の事を考えてくれてる。


「そうですよ、豪の言う通り俺達が守ります」

夏樹は豪の隣に立つと豪の肩をポンと叩いて咲留を見た。


「ほんまほんま、安心してくださいよ」

ああ、大翔、なんだか貴方だけ軽いよ。



「フッ...だったら、しっかりと守って見せろよ?」

咲留は口元を緩めて三人へと視線を送った。


「「「はい」」」

お腹に響いた声はとても深い意味を持ったモノだった。





トントントン

部屋のドアがノックされる。



「なんや?入ってええで?」

源次の声に、


「失礼します」

ドアを開けて一礼した茶髪の人。



「どないしたん?」

と聞いた源次に、

「式の準備が整いました。」

と報告する彼。



「そうか...ほな、皆、行くで?」

ゆっくりと立ち上がった源次が少しだけ寂しそうに見えた気がした。



源次に続いてちぃ君、健、咲留も立ち上がると4人はドアへと向かって歩き出す。


これが最後。


4人がここの住人として揃うのは、最後になるんだ。


迎えに来た彼に案内されるように部屋を出ていった4人。


私達はその背中を静かに見送った。


大きくて逞しい4人の背中。

彼は、ずっとこの場所を守ってきたんだ。


「俺達の時代の始まりですね」

夏樹は少し緊張ぎみに微笑む。


「俺らも気合い入れなあかんな」

いつも緊張感のない大翔の声も、今回に限っては少し震えてた。


「行くぞ。俺達の時代の始まりだ」

豪の低い声が部屋に響いた。


三人の覚悟が見える。

ゾクゾクと背中に這い上がる何かに、私の気持ちも高揚していた。



私を抱き上げたまま歩き出した豪に、付き従う夏樹と大翔。

開け放たれたドアの向こうから聞こえる複数の野太い声は、世代交代を今かと待ちわびていた。



「もう、後には引けねぇぞ」

間近に聞こえる豪の鳥肌が立つ。

覚悟を決めた男の子って格好いいね。


「進むのみです」

と夏樹。

「先代に負けんように気張るでぇ」

と大翔。


三人は大きな歩みで部屋の外へと新しい一歩を踏み出した。