あの日あの時...あの場所で







「ほんま、瑠樹は相変わらず可愛いな?俺も抱っこさしてや。ほら、おいで」

お誕生日席に座る源次が両手を広げておいでおいでする。


「チッ...うぜぇ」

咲留の不機嫌な声が落ちてくる。

もちろん、その瞳は源次を睨み付けてて。


「いやん、睨まんといてや。怖いし」

怯えた振りをする源次は半笑いだ。


怖いなんてちっとも思ってないくせに。


「死ね!」

ほら、咲留がマジ睨みしてるし。

むやみやたらと殺気を放出しないでください。




「瑠樹ちゃ~ん、俺の隣においでよ。そんな危険地帯危ないよ?」

対面の席で手招きするのは健。

ここより、健の隣の方が危なく思えるのはどうしてだろうか?



「遠慮しておくね」

サクッと返したら、


「オーノー」

とショックを受けてた。

面倒臭いので放置する。



「夏樹、大翔、昨日ぶり」

健の側のソファーで二人の姿を見つけたので手を振る。


微笑んで手を振り返してくれる二人にホッとする。


二人の隣に座る豪は足を組んでソファーに深く座ってぼんやりとしていた。

どうしたのかな?

具合でも悪いのだろうか?


さっきまではそんな素振り見せてなかったのにな。


「心配要りませんよ。緊張してるだけです」

私の顔色を読んだらしい夏樹がそう説明してくれる。


「そうなの?」

豪が緊張か...なんだかピンとこない。


「ええ。それほど、ここを受け継ぐと言うのは凄いことなんですよ」

そう言って眼鏡のブリッジを指で押し上げた夏樹。



「フハハ、豪が緊張って。おもろいな?」

源次、それ笑いすぎだし。


「夜叉の巣窟は、この辺の不良にとったら凄い場所なんですってば。そりゃ緊張もしますよ」

と言ったのは大翔。

こちらもやや緊張ぎみだ。


「ま、そんな肩肘張らないで気楽にしろよ?こんな場所、別段凄い訳じゃねぇよ」

ちぃ君は、豪達三人の姿を視界に捉えてあっさりとそんなことを言う。


それは今までここの住人だったからこそ、言える言葉だと思った。


不良の世界の事はよく分かんないけど、この場所が皆の憧れの場所なのは何となく分かる。

だから、その場所を譲り受ける事がとても名誉で、とても重いものだと言うことも。


豪達が緊張しない訳はないんだ。