あの日あの時...あの場所で









「さぁ、瑠樹向こうに行こう」

私達の側まで歩いてきたちぃ君が両手の私に伸ばして抱き上げる。

そうなると豪と繋いでいた手は自然と離れる。


「...チッ」

豪から聞こえたのは不機嫌な舌打ち。


「なんだ?豪。俺に文句あるのかよ?瑠樹は皆の瑠樹だし。お前に文句を言う権限なんてねぇよな」

私を縦抱きに抱っこしたちぃ君は挑戦的な視線を豪に送る。


「...うぜぇ」

憎々しげにちぃ君を睨んだ豪はそう言って、私とちぃ君の横をすり抜けてソファーの方へと歩いていった。



「ククク...まだまだガキだねぇ。からかいがいがある」

ちぃ君はそんな豪の背中を見てお兄ちゃんの顔でクツクツ笑う。


「ちぃ君、あんまり豪を苛めないでよ」

と言った私に、


「うちの弟は色んな意味であまちゃんだからこれぐらいが調度いい。燃やせば良いんだよ、嫉妬の炎」

と悪戯っ子みたいに笑った。


ってか、嫉妬の炎は燃やさないと思うよ?

あ...私にちぃ君を取られて燃やしちゃうかな?

それはそれで、ちょっと興味深い。


私は楽しげに笑うちぃ君に抱っこされたまま、咲留の元へと向かう。



「いらっしゃい、瑠樹。大丈夫か?」

そう言いながらちぃ君から私を受け取る咲留。


大丈夫か?は昼間の事だよね。

咲留の瞳が心配そうに揺れてる。



「うん、問題ないよ」

ごめんね、心配かけて。

私は微笑む、心を隠して。


ってかさ、18歳で抱っこで受け渡される私ってなんだろうか?


違和感なくやってのけるこの人達が怖いよ。


咲留の膝の上に座らされた私と、その横に座ったちぃ君。



頼むから一人で座らせろ。