あの日あの時...あの場所で







「誰か早くに気づけよな?瑠樹」

私を見下ろして豪は苦笑いする。


「うん、皆よく今まで我慢してたよね?」

きっと暑かったはずだよ。


「うちの連中は我慢強い奴等が多すぎだな?」

と冗談ぽく言って口角を上げる豪は、機械音を立てて開いていくシャッターを見ていた。


「確かに」

頷いた私が肌に感じられる程に外から入ってくる風。


これで空気が循環してくれると良いんだけど。


それに暑い場所に居すぎたら、皆熱中症になっちゃうし。


シャッターを開けた状態の方が幾分かはマジだしね。



「一階に空気も取り入れたし、俺達は二階に上がるぞ。お前を連れてくのが遅くなると煩せぇ連中が喚くからな」

意地悪く目を細めた豪に頷く。


「うん。咲留やちぃ君が呼びに来る前に行こう」

あの二人はギャーギャー言いそうだしね。

煩いのが来る前に行かなきゃ。


豪に手を引かれてシャッターに背を向けると二階へ上がる階段を上り始める。

キシキシと軋む鉄の階段。


豪はゆっくりとエスコートしてくれる。

大きな体つきの豪は、意外にも細やかな気遣いをしてくれる。


「足、踏み外すなよ」

と言われ、

「大丈夫だし」

と微笑む。


この間来た時に一段踏み外して、膝小僧を打ったのは内緒だ。

この鉄の階段、中々急で上り難いのです。