「ねぇねぇ、一人?」
さっきまで、咲留と一緒に居たの知ってる癖に。
俯いたまま側にやって来た4つの靴をぼんやりと見つめてた。
「一人で暇してるなら、俺達とお茶しよう」
「そうそう、楽しいよ。奢るし」
「恥ずかしがりやさんなのかな?」
「俺達、悪い奴じゃないからね?」
無視してても話続けるって凄いなぁ。
しかも、自分で悪い奴じゃないって言う古典的はおバカさんだし。
「ねぇねぇ、こっち向いてよ」
マジでしつこい。
面倒臭いなぁ。
「無視とか良くないよ?」
ガシッと掴まれた腕。
ゾゾゾッと背筋に走った悪寒。
ダメだ、無視してても埒あかない。
「気持ち悪いから離して」
大きく腕を振って男の手を振り払うと、顔を上げて二人の男を睨み付けた。
「うわぉ!マジで可愛い」
騒ぎだした男にヘドが出る。
「なぁ、行こうぜ」
もう一度伸びてきた男の手は、私に触れる前に弾き飛ばされた。
第三者の手によって。
「おい、てめぇが軽々しく触って良い女じゃねぇんだよ?ゲス野郎」
唸るような重低音が周囲に響いた。
一人の男は顔を青ざめさせて固まった。
「うっ...あぁ!」
私に手を伸ばした男は腕に捻り上げられて壁に押し付けられてる。
低い声で威嚇した彼によって。
「...しゅ、柊?」
私の目の前には居るはずのない彼の姿。
男を壁に押し付けたまま私を見ていた。
「に、西のキング...」
青ざめてた男がカタカタと体を震わせて、絞り出した様な声を出した。
「身の程を知らないと駄目だね?」
クスクス笑いながら現れたのは圭吾。
どうしてここに、二人が居るんだろう?
どうして私を助けるの?
回らない頭で色々考える。
「二度とこいつに近付くな、分かったな?」
殺気を孕んだ声で壁に押さえ付けていた男の胸ぐらを掴み上げた柊。
「...は、はい..す、すみません」
苦しげに声を出してカタカタ震える男は、
「目障りだ、さっさと消えろ」
と柊に恫喝されてもう一人の男と共に慌てて逃げていった。
残されたのは...私達三人。
こちらをチラチラと見てる人達が増えて来る。
これは、少し困るなぁ。
「ちょっとだけ、顔を貸してもらえないかな?」
圭吾がすぐ側の階段を指差した。
あまり使われないそこは、確かに人が居なくて好都合だ。
「...う、うん」
咲留が戻るまでなら良い。
ここで目立つよりは移動した方が得策だと思うし。



