店の前のベンチで待つって言った私に、危ないからダメだと渋ってた咲留を漸く店内に向かわせた。
あんなに心配しなくても良いのに。
この年になって連れ去られるとかないし、子供じゃないっての。
視線を感じて顔を上げたら、店内に入ったはずの咲留が入り口付近で心配そうにこっちを見てるし。
はぁ...まったくもう!
「ほら、行って。欲しいのも探しておいでよ」
シッシッと手で追いやる。
うちのお兄ちゃんは心配性で困るよ。
眉を下げながらも背を向けて店の奥へと向かって行った咲留に大きな溜め息をつく。
こんな人の多い所で何があるってのよ。
思わず苦笑いする。
チラチラとさっきから視線を向けてきてる面倒臭い男の子達は居るけどね。
あの程度なら何とでも交わせるし。
私だって護身術ぐらいできるだから。
視線を合わせると近寄ってきそうなので、絶対に視線を合わせないようにはする。
ナンパとかウザいからね。
サーフショップの店内へと視線を向けたまま、咲留が出てくるのを待つ。
その間にも何かが左方向からやって来てる...様な。
目を合わせなくても来るのか?
なんて思いつつ知らんぷりを続ける。
私には何も見えないし、何も聞こえない。
そう、私は貝なのだ。
な~んちゃって。
とにかく、くだらない連中は無視に限る。



