あの日あの時...あの場所で






エレベーターを降りて、目的のサーフショップに向かえばショップの入り口でこんなやり取りを目撃した。



「本当に、ここで大丈夫か?出来たら一緒に店に入って欲しい」

懇願する男と、


「ここに座ってるってば。中に入っても興味ないし」

店と廊下を挟んで正面のベンチに座る女の子。


「マジで大丈夫か?連れ去られたりしねぇか?」

どんだけ心配してるんだよ?


「大丈夫だってば。私、18よ?連れ去られる年じゃないし」

プクッと頬を膨らませて上目使いに睨む姿が愛らしいねぇ。


ほら、隣のキングの彼女を見る瞳が優しくなってるし。




「じゃあ、直ぐに戻ってくるから大人しくしてろよ」

イケメンのお兄さんが、彼女の頭を優しく撫でた。


「うん、急がなくてもいいからね」

あんな風に微笑まれたら、そりゃ過保護にもなるなぁ。


ってか、今日は狼王じゃなくて、彼と一緒に行動してるのか?



「あの人、見たとこある気がするけど...」

見覚えのある顔に顎に手を当てて首を傾げて考える。



「あれは二階堂咲留、瑠樹の腹違いの兄貴だ」

二人に視線を向けたまま教えてくれたキング。


「ああ、なるほどね。二階堂さんかぁ。見るの初めてかも」

西新庄源次さん達とつるんでる中で、あの人だけがいつも前に出てこない。


だけど、実力はあの人達の中じゃNo.1だと言われてるのに。


でも、聞いてるのと少し様子が違うような?


クールで寡黙な感じって噂を聞いてたけど。


あんな風にデレデレする人だったとは...。


「あれは瑠樹限定だ」

と言ったキングを見上げた。


「へっ?」

「瑠樹にだけあの人は甘くなる。ま、シスコンってやつだ」

「ふ~ん、シスコンねぇ。ま、あの可愛い妹じゃシスコンになるのも仕方ないけど」


二階堂咲留と会話してる瑠樹ちゃんに目を向ける。


側を通る男達がデレッとした表情で彼女に目を向けていく姿もまさに滑稽だよね。



「...チッ」

キングはそんな男達を見て殺気立ってるし。




「じゃあ、必ずここに居てくれよ」

瑠樹ちゃんの頭をよしよしと撫でる二階堂咲留。


「うん、待ってるから行ってきて」

あ~可愛いなぁ。


二階堂咲留は瑠樹ちゃんに一度微笑んでサーフショップの店内へと入っていった。