あの日あの時...あの場所で






「瑠樹、何が欲しい?なんでも買ってやるぞ。金に糸目はつけねぇからな。親父から軍資金も貰ってきたしな」

ゆるゆるの顔でそんな事を言ってくる咲留。


「それ、なんかオジサンみたいなんだけど」

若いお姉さんに貢ぐパトロンってこんな感じなのかな?


「ええ!俺は若いぞ。そんな老けて見えるか?」

落ち込まれても困る。


「いや、そんな事はないけど」

本気で年の事を言ってる訳じゃないし。


「だよな?だよな?良かった。ほら、ここ入ろうぜ」

気を取り直した咲留は、私の手を引いて一軒のブティックに入る。


今、若い子の間で流行ってるブランドのお店だ。



「いらっしゃいませ。どう言った物をお探しでしょうか?」

ギャルっぽい店員が、咲留を見て瞳を輝かせて近付いてくる。


うわ...面倒臭い。




「適当に見るから放っておいて」

咲留は店員を一瞥だけして、私の手を引いて店内奥へと進む。


擦れ違った店員の顔は残念そうな顔してた。



「瑠樹どれが良い?」

咲留は壁際の洋服棚で立ち止まる。

そこにはショート丈のワンピースなんかが並んでいて、咲留は私の好きそうな服をよく知ってると思う。


さすがはお兄ちゃん。



「あ、これ可愛い。この下にデニムのショートパンツが似合いそう」

水色のショート丈のワンピースは胸の下辺りでレースの切替になってた。

手に取ったそれを、咲留に見せる。


「おっ、良いな。パンツも探すか?」

頷いた咲留は、キョロキョロと周囲を見渡す。


「何かお探しでしょうか?」

すかさずやって来たのはさっきの店員。


「ショートパンツ」

咲留は単語だけ返す。


いやいや、その態度はどうかと思うよ?



「こちらでございます」

笑顔で案内を始める店員は流石だと思う。



「瑠樹、ほらそれ貸せ。パンツはこっちだって」

咲留は私の手に持ってたワンピースを受けとると店員の後に続いた。


私も咲留の後を追うように歩きだす。


ちょっと見ただけなのに、買う話になってるし。


ま、良いけどね。




パンツの陳列されてる棚へとやって来ると、店員はここぞとばかりに話し掛けてくる。


「こちらは今年流行りの.....」

...メチャクチャ笑顔だし。


咲留目当てなのがまる分かり。


もうちょっと隠した方が良くない?