あの日あの時...あの場所で









「瑠樹ぃ~おっはよぉ~」

朝から苛つく声。


目を擦りながら薄く瞼を開けば、至近距離に咲留の顔。


「煩いし、近い」

思わず伸びた拳が咲留の顔面にヒットしたのは致し方無いだろう。


「うおっ、いってぇ」

顔を押さえて離れた咲留。


合鍵を回収してやろうかと、思う今日この頃。



「朝から何?まだ8時なんだけど」

気だるそうに体を起こして掛け時計を見た。


午前8時にテンション高めにやって来る咲留。

世の女の子達が、クールで硬派だと騒いでる咲留の正体はこんなのだ。


私を見てニヘラと笑う咲留を怪訝そうに眉を寄せて見る。


皆、騙されてる。




「最近、溜まり場の引き継ぎで忙しくて会えなかったしな」

そう言えば、夜叉の巣窟の引き渡し、今日だったっけ。


屋敷を訪れたあの日から数日過ぎてる。

私は何も変わらない。



「だからって、朝から来られても迷惑」

冷たい視線を送る。

起き抜けの私は期限が悪いのだ。



「一緒にモーニングでも食べに行こうと思ってな。美味しいモーニングを出すって評判の店がオープンしたんだよ」

そんな興奮ぎみに言われても。


「......」

「な、行こう。モーニング10時までなんだよ。瑠樹と食べたい」

捨て犬みたいな瞳で見てこないでよ。


「..はぁ...分かった。用意するから出てって」

何だかんだ言っても、私も咲留には弱い。


「おう、じゃあ待ってるな」

笑顔で部屋を出ていった咲留。


いい加減妹の私ばかり構ってないで、彼女でも作りなさいよ、と思う。



ま、じゃあ着替えますか?


うーんと手を伸ばして伸びをして、ベッドから降りた。


髪をかき揚げながらクローゼットを開く。



ワンピースよりパンツの方が良いかな?


夕方にある引き継ぎ式に私も呼ばれてるしね。

何か手伝うなら動きやすい方が良い。


カボチャラインのカーキのハーフパンツと白いレース使いのテールカットチェックをチョイスした。



着替えてリビングに行けば、ソファーにドカッと座ってスマホを弄る咲留が居た。


あんな風に静かに座ってれば、イケメン何だけどね。


咲留ってば、色々残念なのよね。



リビングを抜けてパウダールームに向かう。


日焼けしないようにお化粧しとかないとね。


夏の日差しは怖いんだよ。