クラブで暫く時間潰しをした俺達は見廻りに向かった。
俺を先頭に走るバイクの集団。
暴走族じゃねぇから、メットはちゃんと着用してる。
もちろん信号だって守る。
無謀な運転なんてして、命を落とすなんてバカみてぇだからな。
うちの連中にもそれは徹底させてる。
若い命を無駄に危険に晒したくねぇし。
久々に乗る黒光りするビッグスクーターは、普段から手入れをされてるせいか、調子が良い。
これも圭吾のおかげだな。
普段はクラブ近くの圭吾の従兄弟が経営するバイク屋に預かって貰ってるから、常に整備された状態で保管してくれてる。
腹の底に響く重低音。
この辺りじゃ少し珍しいこのバイクは良く注目される。
黄色い悲鳴を上げながら手を振る女達や、野太い声で歓声を上げる男達の横を通り抜ける。
余所者の溜まりそうな場所を覗きながら続く見廻り。
海岸線を走れば、ハーフヘルメットを被る俺の頬を潮風が掠めていく。
アクセルを回して俺は風になる。
モヤモヤしてた気持ちもおかげで吹き飛んだ。
まぁ、一時的な物だろうけどな。
それで幾分かはマシになった。
瑠樹が頭の中から消えた訳じゃねぇけどな?
未練たらたらだよな。
一通り見回った俺達は、広い空き地に停車した。
「キング、この後どうしますか?」
陽史が俺のバイクに横付けして聞いてくる。
「俺は用事があるからここから別行動するわ」
そう言ってから、ポケットから取り出した煙草を銜えて火を着けた。
「はい、分かりました。護衛はどうしますか?」
「要らねぇ。こいつに乗ってりゃ大抵の奴からは逃げ切れる」
俺はバイクのボディをポンと叩く。
こいつは1200馬力もあるからな。
「分かりました。お気をつけて」
頭を下げた陽史に、
「ああ」
と返事を返してアクセルを回した。
ゆっくりと動き出すバイク。
一緒に見回ってた奴等が次々と頭を下げる。
俺は銜え煙草をしたまま空き地を離れた。
目指すのは、あの公園。
どうしても行ってみたくなった。
ここからなら5分も掛からねぇ。
南の連中に見つかるかも知れねぇと言うリスクを負ってでも行きたかった。
瑠樹との思い出の場所に。
欲望に勝てなかった馬鹿な俺はこの後、衝撃を受ける場面を目撃する事になる。
そして、狼王の流れてる噂が本当だと思い知らされるんだ。



