あの日あの時...あの場所で






「柊の噂は本当だろうか?」

つい最近流れ出した噂を思い出す。


女の子が噂好きなのは、いつの世も一緒で。

聞きたくなくても、嫌でも耳に入るもので。


それは王凛高校も例外じゃない。


さすがに豪達が側に居る時に、敵である西の噂をする女の子達は居ないけど。

体育の時間や着替えの時なんかには、よく噂話をしてる。


何でも、西のキングに本命が出来たらしいと言う。


笑わない王様に、初めての本命説。

誰もが噂をし、そして真相をしろうとする。


女遊びを止めて、本命に絞ったキング。

柊が真っ当な道を進み始めたのなら、喜ばしい事なのに....ズキズキ胸の奥が痛むのは何故だろう。


彼を立ち直らせたのは私じゃない誰か...。


柊の優しい手はその子に触れるのだろうか。

私だけが知っていた彼の微笑みを知るのだろうか。


こんなにも胸が張り裂けそうなほど苦しいのは...柊をまだ思ってるから?

もう、決して望んじゃダメなのにね。


私だけがまだ前に進めてない。


「...柊」

言葉に出せば会いたくなる。

そして、会えばきっと触れたくなる。


私は我が儘だね。


豪にあんなにも大切にされてるのに、柊に会いたくて仕方ない。


彼はもう他の誰かのモノなのに。