あの日あの時...あの場所で







「さ、出来たみたいなので、湯がきましょうか」

不格好な物もあるけど、家族で作った美味しそうなソーセージ。


家族三人で美味しく食べてほしい。



「はい、そうします」

コンロに水を張った鍋をかけた父親。



「沸騰したらソーセージを入れて15分湯がけば出来上がります」

水道で手を洗いながら父親に伝える。



「本当にありがとうございました」

側まで来て頭を下げた母親に、


「いいえ。美保ちゃんと一緒に作れて楽しかったです」

と微笑む。



「ほら、タオル。戻るか?」

豪が差し出してくれたタオルを受け取って頷いた。


「うん。戻って食べようか?」

冷めちゃったら美味しくないしね。


「ああ、食う」

クールな笑みを浮かべた豪。



「地ビール注文しなきゃね。じゃ、私達戻ります」

豪から視線を外して美保ちゃん達に頭を下げると、二人でテーブルに戻った。



「ありがとう、瑠樹ちゃん」

手を振ってくれる美保ちゃんは可愛いなぁ。





「あんな妹が居たら、猫可愛がりする」

と隣を歩く豪に言えば、


「お前が猫可愛がりされてる側だもんな?」

と意地悪く笑われた。


「あ、そうだね。咲留もこんな気持ちなのかぁ」

胸の中に沸いた暖かい感情はとても心地の良いモノだった。



「瑠樹を過保護にしたくなる気持ちは俺もわかるぞ?」

ポンポンと頭に手を乗せた豪。


「いつもありがとうね?」

豪が私を大切にしてくれてるのは凄く伝わってるよ。



「...ほら、食うぞ」

私を椅子に座らせた豪は、

「飲み物買ってくる」

と背を向けようとした。



「あの、これ、良かったら飲んでください」

背後からの声。


そこに居たのは美保ちゃんのお父さんで、地ビールとソフトドリンクを両手に持って微笑んでいた。


「えっ?」

と首を傾げたのは私。


「手伝ってもらったお礼です」

そう言って豪に両手の飲み物を手渡した父親。



「あ、すみません。気を使わせて。頂いて良いんですか?」

あ、豪が普通に敬語使ってる。


「もちろんです。じゃ」

父親は頷くと背を向けて去っていった。



「ごちそうさまです」

美保ちゃんに達のテーブルの方を向いて頭を下げる。


いえいえ、なんて手を振りながら微笑んでくれた美保ちゃんと母親。


隣を見れば豪も無愛想なまま会釈してた。