あの日あの時...あの場所で







「お姉さん、瑠樹ちゃんて言うのぉ?見た目も可愛いけど、お名前も可愛いね」

あぁ、美保ちゃん、貴方の方が可愛いよ。


「ありがとう、美保ちゃん」

フフフ..と微笑んだ。



「ごめんなさいね。彼氏さんと一緒なのに、こちらを手伝ってもらって」

申し訳なさそうに眉を下げた母親に、


「あ、豪は彼氏じゃないです。困った時はお互い様ですから気にしないでください」

と返す。


「ありがとう、瑠樹ちゃん」

...瞳をうるうるさせないでください。


「君はほんと良い子だね。瑠樹ちゃん」

父親まで瞳を潤ませてる。


この夫婦は感受性高いのかな?


って言うか、手が止まってますよ、お二人さん。



「瑠樹ちゃん、気にしないで。この二人はいつもこんな感じだから」

あぁ、美保ちゃんは心得てるんだね。


「うん、そうする」

美保ちゃんに頷いて、二人で作業を再開させた。


美保ちゃんと色んな話をした。


お互いの年齢や、住んでる所も知った。


美保ちゃんは、小学2年生で西地区に住んでるのだそうな。


家族三人で、良くお出掛けをするらしい。


私はママともこんな風に出掛けた事が無かったなら、少し羨ましくなった。



「あのお兄ちゃん凄く格好いいね」

豪を見て頬を染める美保ちゃんを見て、小学二年生でも女なんだと改めて思った。


「そうだね。豪は格好いいかも。愛想笑いけどね?」

こちらを見てムスッとしてる豪を見て苦笑いする。


「可愛い瑠樹ちゃんと格好いい豪君、凄くお似合いだよぉ。羨ましい」

美保ちゃんは私の隣でピョンピョン跳ねる。


「美保ちゃんも凄く可愛いよ」

妹にしたいぐらい。


「ほんと?瑠樹ちゃん好きぃ」

私に抱き付こうとした美保ちゃんは、


「その手で抱き着くな。瑠樹が汚れんだろ?」

と、いつの間にか側に来ていた豪に首根っこを掴まれて後ろへ引っ張られた。



「あ...ほんとだ、ごめんね、瑠樹ちゃん」

美保ちゃんは油でギトギトの自分の両手を見てしゅんとした。


「良いよ、大丈夫。ほら、豪も離してあげて」

美保ちゃんに優しく微笑むと、未だに美保ちゃんを掴む豪に視線を向けた。


「ああ、悪かったな?」

美保ちゃんに謝る辺りが豪らしくていい。



「ううん。豪君、止めてくれてありがとう」

振り返ってそう言った無邪気な美保ちゃんの微笑みに、照れ臭そうに顔を背ける豪。