あの日あの時...あの場所で









「豪も、楽しもうね?」

せっかく一緒に来たんだし。


「ま、出来ることはな?」

曖昧に返される返事。


「まずは手作りソーセージに挑戦しようよ」

すぐ近くの標識に[この先手作りソーセージ]と書かれていたので、それを指差した。



「.....」

すっごい嫌そうな顔してるんですけど。


えぇ~一発目から?


「出来上がったら湯がいて、地ビールと一緒に食べれるんだって。楽しみだね?」

豪を上目使いに見上げる。


「...っ...はぁ..分かったよ」

諦めた様に溜め息をついた豪は、私の手を引いて歩き出す。


もちろん、手作りソーセージ作りを体験するログハウスに向かって。


フフフ...なんだかんだ言っても付き合ってくれる豪が大好きだ。









「さぁ、皆さん。出来上がった順にソーセージをたっぷりのお湯で湯がいてください」

黒板の前に立つ講師の人が、部屋の中を見渡してそう言った。


まだ、アタフタしてる家族連れやカップルを尻目に私は目の前の簡易コンロに火を着けた。


たっぷりの水を入れた鍋を火にかける。


沸騰したら作ったばかりのソーセージを放り込めばOKだ。


ソーセージ作りは、結構楽しかった。


因みに豪は私の横で似合わないエプロンを付けて、少しだけ手伝った。


「豪はもう座ってていいよ」

居心地悪そうにしてる豪に、側に在った椅子を指差した。


「ああ、そうする」

ホッした顔でエプロンを外す豪に少し笑えた。


「ありがとうね?付き合ってくれて」

「いや、お前が楽しけりゃいい」

と言ってくれる豪はやっぱり優しいね。


「うん、凄く楽しかったよ」

チーズを入れたり、ハーブを入れたり、自分好みのソーセージが作れたし。


「なら、よかったな?」

ガシガシと私の頭を撫でてくれた。


「うん」

「ちょっと、煙草吸ってくるから、ここから出んなよ?」

豪は部屋の中をぐるりと見渡して危険がないことを確認して私にそう告げる。

その辺は余念がないよね。


「うん、行ってらっしゃい」

私はソーセージを湯がくことに力を注いでおきます。


「ああ、すぐ戻る」

クイッと口角を上げた豪は私に背を向けると足早に部屋を出ていった。


さてさて、頑張ってくれた豪君の為に美味しいソーセージでも湯がきますか。


沸騰したお湯に丁寧に作ったばかりのソーセージを放り込んでいった。