あの日あの時...あの場所で









「牧場にぃ~来たぁ~!」

ゲートを潜って、目の前に広がる草原を前に拳を振り上げた。



「織田○二かよ?」

後ろから聞こえる豪の皮肉なんて聞こえません。


青い空、広がる草原。


放牧されてる牛や羊に感動を覚える。



間違いなく家族連れが多いそこには、かなり私達は異質に見えた。


ま、気にしないけどね。



「豪、早く行こう」

点在するログハウスを目指して走り出す。

それぞれのログハウスで色々なイベントをやってるのだ

ログハウスとログハウスを繋ぐ砂利道。

牧場に来たぁ~って感じがする。



昨日のうちにスマホで調べた情報を思い出すと楽しくなる。


何から始めようかな?


ソーセージ作り、パン作り、乳絞り...楽しいことが一杯だ。



「あ...おい、慌てんな、転けるぞ」

私に手を引かれる豪の声。


「大丈夫だし...っと、あっ...」

返事を返した途端に砂利に足を取られて転びかけた私はマヌケだ。



「ったく、言ってる端から...危ねぇな」

呆れた声と伸びてきた腕。


私は地面とご対面する前に、豪のガッシリとした腕にお腹を抱き抱えられた。



「ごめんなさい」

眉を下げたまま首だけ振り返る。


「ああ。慌てなくても時間はたっぷりある。だから、のんびり行こうぜ」

豪はゆっくりと私の足を地面に下ろしてくれる。


「そうだね」

頷いて、裾が少しめくれ上がったスカートをパタパタと叩いた。


「行くぞ」

と伸ばされた豪の手。


「うん」

迷わずその手を取った。


二人で再び歩き出した砂利道。


擦れ違う親子連れが、ちょっとヒビってるのは秘密。


草原を駆け抜けてきた爽やかな風が私の髪を沢沢と揺らす。

何となく見上げた豪の横顔。


豪には爽やかな牧場の景色が似合わなさ過ぎる。


「んだよ?」

怪訝そうに眉を寄せて私を見下ろす。


「牧場、似合わないよね」

クスクス笑ったら、

「うっせぇよ」

と恥ずかしそうにそっぽ向かれた。


どうやら、自分でも似合わないと思ってたらしい。