あの日あの時...あの場所で











「じゃあ、ちゃんと戸締まりしろよ?」

部屋の前まで私を送ってくれた豪は、私の頭をガシガシと撫でる。


「うん。いつもありがとう」

豪を見上げて微笑む。


豪はいつも私を部屋の前まで送り届けて、私が部屋に入るのを見届けてから帰るんだ。


オートロックでセキュリティーがしっかりしてるマンションだから、一階のエントランスまでで良いよと何度言っても、部屋の前まで来てくれるんだ。


ほんと、咲留と一緒で豪は過保護だ。



「明日も、昼過ぎに迎えに来る」

「うん」

休みに入ってからはお昼過ぎから、豪達と一緒に行動するようになってた。


「どこ行きたいか考えとけ」

「えっ?」

急に言われた言葉に驚いた。


だって、いつもは夜叉の巣窟か学校の視聴覚室なんだもん。



「たまには遊びに行きてぇだろ?」

優しく微笑む豪は私が毎日同じことの繰り返しで、飽きてきてた事を分かってたらしい。


「うん」

元気よく返した返事に、フッと口元を緩めた豪は、

「好きな場所へ連れてく。だから何処に行くか考えとけよ」

と頭をポンポンしてくれた。


完全に子供扱いだね。

ま、もう慣れっこだけどさ。


「分かった、考えとくね」

「ああ。もう中に入れ」

私の肩を優しく押して、開けてあったドアの中へと誘導した。



「おやすみなさい、豪」

まだ、寝る時間じゃないけどさ。


「ああ。おやすみ」

豪の返事を聞いてドアを閉めた。


そして、ロックをしっかりと掛けた。


覗き穴から豪が背を向けて去っていく姿を確認してリビングへと向かった。



明日はお出掛けするらしい。


それだけで、テンションが上がる。


柊と再会してから、少しばかり塞ぎ込んでたからね。


明日のお出掛けはかなり嬉しい。


何処に行こうかな?


リビングのソファーに座ってスマホをタップする。


遊園地に水族館、動物園.....あ、プールもある。


遊びを検索すると色々と楽しそうなものが表示される。


旅行以来、遊びらしい遊びはしてなかった。



あ.....ロッククライミングなんてのもある。


おぉ~空を飛ぶパラグライダーも良いなぁ。

.....あぁ、要予約だ。


今回は諦めよう。


何をしようかな?

何処に行こうかな?



ワクワクしてた私は、明日の出先で衝撃的な噂を耳にすることなんて知らなかった。


そして、それが切っ掛けで海水浴で会った彼に自ら連絡をするとこになることも。


守られるばかりで無知な私は、何も知らずに居たんだ。