あの日あの時...あの場所で








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この頃、瑠樹の様子が可笑しい。


いや、正しくはキングに会ってから可笑しい。


咲留さんに、瑠樹とあいつが幼馴染みだったと言う話は聞いた。

あまり良い別れをしなかったと言う事も。


咲留さんはそれ以外は話をしたくなさそうに濁していた。

だから、深くは聞けなかったんだ。

だって、俺は完全なる部外者だからな。


深い場所まで入り込めるほど俺は瑠樹を知らない。


大切に思ってるし、今じゃ何よりも大事だ。


だけど、まだだ...まだ深く入り込めねぇ。

瑠樹の無意識に張ってる何かに阻まれたまま先に進めねぇんだ。



初めは尊敬する咲留さんに頼まれたから瑠樹を守ることにした。

だけど、瑠樹に会って似合いもしねぇ一目惚れなんっ~のを経験しちまった。

瑠樹の瞳に囚われたあの日から、俺は俺の意思で瑠樹を守ってる。


大切にして、何からも守ってやりてぇ。


瑠樹はそんな女の子で。


いつも俺の地位や容姿だけを見て色目を使ってくる香水臭い女達のせいで、女嫌いになった俺。

それを変えたのは間違いなく瑠樹で。

そんな瑠樹を溺愛して過保護なほど手を焼いてる、こんな自分が居た事に驚いた。


だけど、今の自分は嫌いじゃねぇ。


瑠樹ならドロドロに溶けるほど甘やかしてやりてぇんだ。

咲留さんのシスコンぶりも理解できる自分が、ちょっとばかし怖いけどな。


昨日、瑠樹の様子が可笑しいと、警護の連中から連絡が入った時、俺は自分の置かれてる現状なんて考えもせずに動き出してた。


源治さん達が夜叉の巣窟を俺達に譲り渡したいと言う大事な話をしてくれてた所だったのに、夏樹に入った報告を聞いていてもたっても居られなくて。


俺らしくねぇと笑われようと、瑠樹の側に駆けつけてぇと思ったんだから仕方ねぇよな。



はぁ.....隣で涼しげに本を読む瑠樹へ目を向ける。


溜め息をついてても仕方ねぇのは分かってる。


だけど、瑠樹を今苦しめてるモノを聞き出す事が出来ないのが歯痒い。

何も言いたがらない瑠樹から無理矢理聞き出す事なんてしたくねぇから、待つしかねぇんだけど......。


瑠樹が時々見せる憂いを含んだぼんやりとした表情が俺を悩ませてた。


それと同時に、俺の中の何がが苛立って仕方ねぇ。


これが、人を好きになるって気持ちなのかと、最近ようやく気付いてきた。