「咲留が同級生はやだ」
本心を言えば、
「どっ...どうしてだよぉ」
とあからさまに落ち込む咲留。
捨てられた仔犬の様だ。
これが、硬派で無口の黒豹だと恐れられてる人間だとは誰も思わないだろう。
豪が狼王と呼ばれてるように、咲留は黒豹と呼ばれるらしい。
ついこの間大翔に教えてもらったのだ。
通り名とか格好いいのか、悪いのか良く分からないけどね。
「残る連中の面倒も頼むな?」
いつも頼りない健が真剣な顔で豪を見ていた。
「はい、もちろんです」
豪は覚悟を決めた瞳を健へ向けた。
「ここの連中には豪がここの主になる事は話してる。お前だったら納得だとよ。だから、気合い入れてここを守れ」
そう言ったちぃ君はどこか嬉しそうだった。
やっぱり仲間に自分の弟が認められるの嬉しいものなんだと思う。
私も、咲留が皆に慕われてる姿を見るのは嬉しいし。
「ああ、瑠樹もこの夜叉の巣窟も俺達が守る」
豪は夏樹や大翔に視線を向けて三人でアイコンタクトを取る。
俺がって言わないのは豪らしいね。
仲間を誰よりも大切にする豪だから、この場所もきっと守りきれると思うよ。
「ほな、来週の土曜に引き継ぎ式でもしよか?」
...源治、軽いよ、ノリが軽すぎる。
「おぉ、そうだな。そうしよう。その時に瑠樹の紹介もしたらいいしな」
うんうんと頷くのは健。
「では、こちらもその様に段取りします」
夏樹も頷いた。
進んでいく話を聞きながら、本当にここから咲留達が居なくなっちゃうんだと実感した。
寂しいと思ってるのは、きっと私だけじゃない。
ここで、長い時間を過ごした咲留達が一番寂しさを感じてるに違いないんだ。



