あの日あの時...あの場所で





シスコン咲留が睨むのは分かるけど、なぜ豪まで睨んでるんだろうか?


良く分からない。


「うわっ、豪と咲留さん同じ顔してるやん」

と二人を指差して笑うのは大翔で。


「ほんまやなぁ、こりゃおもろい」

源治も意気投合してるし。

二人してイヒヒと楽しそうに笑ってる。


ここはいつから関西になったんだろうか?



「うっせぇ」

と源治を睨む咲留と、

「笑うな」

と隣に座る大翔を小突く豪。

二人が良く似て見えるのは私だけじゃないと思うなぁ。



「ま、とにかく話を再開しましょう」

至って冷静な夏樹が眼鏡のフレームを人差し指でクイッと押す。


「そうそう。早くしてくれないと、可愛い子ちゃんとの待ち合わせに遅れるし」

と自分の腕時計を見たのは健。


相変わらずチャラいんだね。




「ほな、さっきの続きやけど。ここを今週中には明け渡せると思うわ」

「...えっ?」

源治の言葉に目を丸めた。


明け渡す?どう言うことだろうか?



「はい、ではこちらもその様に準備します」

夏樹は源治を真っ直ぐに見て頷く。




「俺達な?ここを豪達に譲ろうと思ってな」

夏樹達が話す中、咲留が私に耳打ちしてくれた。

「えっ?咲留達はどうするの?」

「俺達はそろそろ就活してかなきゃなんねぇしな。こうやって好き勝手に集まるのもできなくなるからな」

「...そっか」

咲留が大人になっていくような気がして、少し寂しくなった。


「それに豪には、大切なお姫様を守る為の砦が必要だろ?だから、ここを譲ることに決めた。でも、心配すんな?ここに溜まる事は無くなっても瑠樹には会いに行くからな」

ちぃ君は蕩けそうな笑みを私に向けた。


こんな顔、取り巻きの女の子達が見たら失神して倒れそうだね。


綺麗な男はこれだから困るよ。


「あっ、千景。瑠樹をタブらかそうとすんな」

咲留...何を言ってるのさ。

いつ、ちぃ君がそんなことしたのよ。


「ククク...まったくそのシスコンは何時まで続くんだよ」

ちぃ君は、やれやれって顔で私越しに咲留を見た。


「いつまでもだよ。こんな可愛い瑠樹を野放しに出来るか!」

真顔でそんなこと言われても...ね?


「いい加減豪に任せろよ。あいつは咲留以上に瑠樹を大切にしてるぜ?」

確かに、豪は凄く大切にしてくれてる。


「そ、そんなの同じ年で同じ学校だからじゃねぇかよ。俺だってな、瑠樹と同じ年ならもっと側で守ってやるし」

.....それはそれで嫌だ。


咲留と同じ年とか、今以上に大変になりそうだし。