あの日あの時...あの場所で






ちぃ君と咲留の追いかけっこに巻き込まれた私は、階段の踊り場につく頃にはヘロヘロになってた。


走るちぃ君に揺さぶられて、完全に酔った。


三半規管..絶対にやられた。




「じゃじゃ~ん、お姫様の登場!」

何てふざけた事を言いながら、二階の部屋のドアを開けたちぃ君。


「てんめぇ、ふざけんじゃねぇぞ」

追い付いたらしい咲留に恐ろしい声で凄むと、私をちぃ君から奪い返す。


もう...好きにして。


ぐったりと咲留に体を寄せた。



「あ~ぁ、瑠樹が奪われたぁ」

ちっとも残念そうじゃありませんけど?



「お前、マジうぜぇ。瑠樹は俺んだ」

てめぇのでもねぇよ!とつっこみたいが、声を出すのも億劫だ。




「ちょいちょい、何を取り合ってんのや?その子ぐったりしてるけどえぇんか?」

部屋の中に居た人がきっと話しかけてるんだろう。


うっすらと目を開けた。


そこには金髪の超イケメンがいた。


ソファーにふんぞり返って座ってるその人は私を指差してた。


指差すなし!




「あっ!瑠樹瑠樹、大丈夫か?」

揺らすな、咲留。


心配そうに顔を覗きながら体を揺さぶる目の前の咲留を、殴り飛ばしたい衝動に駆られる。  

「.....うぷっ...」

気分悪い。



「顔色悪いからここに寝さしたり」

あのイケメン優しい。

まともな人も居るんだね。



「あ、おう」

ズンズンとあるきだした咲留は私を何処かに下ろしてくれた。


ふんわりと背中に当たる感触からソファーだと言う事は分かった。



「うわっ、めちゃめちゃ可愛いやん」

近距離から聞こえた声、薄目を開けたらその人のアップが!



「...っ..」

息が詰まった。


「お、おい、源次(ゲンジ)ちけぇ」

咲留が慌てて、金髪イケメンの肩を持って私から引き離した。



「なんやぁ。俺の近くに寝させるからくれるんかと思ったのに。」

こいつも...変人だ。


いい人に思えたのは気のせいだ。


ふらつく体を起こして、下がれるところまで下がる。



「...そんな不審者観るような目をせんといてぇな」

「不審者より質悪い」

キッと睨んでやったら、


「そのツンデレ堪らん」

とか悶え出した。



いやぁ~ホンモノの変態いますよ!