「...キング、最低ね。こんなに可愛い瑠樹を苦しめるだなんて」
梅の瞳は怒りを灯していて。
「そうだよ。瑠樹ちゃんを悲しませておいて自分は女遊びばっかりしてるだなんて。酷い男よね?瑠樹ちゃんはキングなんて忘れて豪様と幸せになるんだよ」
興奮してテーブルに身を乗り出す楓の言葉にズキンと胸が痛む。
私の為に怒ってくれてるのは分かっていても、苦しいな。
「.....」
どうしよう。
なにか言わなきゃと思うのに、何にも浮かんでこないよ。
豪はそんなんじゃないよと言いたくても、口が上手く動いてくれない。
「楓!ちょっと落ち着いて」
私の様子がおかしいことに気付いた桃子が楓の肩を掴んでなだめすかす。
「えっ...あ、うん、ごめん」
楓はシュンとなってソファーへ座り込む。
「.....瑠樹、貴女...今も...?」
黙り込んだままの私を梅が見下ろした。
「...分からない...分からないの。柊の事は忘れてたつもりだった」
そのつもりだったのに、苦しいの。
「瑠樹...良いんだよ。無理しなくていい。自分の心に嘘はつかなくていい。だからね?苦しまないで」
俯いたままの私の背中を梅は優しく擦ってくれる。
「.....もう、会わないと思ってたのに」
会わなきゃこんな気持ちにならなくて済んだのに。
膝に乗せた手を握り締めた。
柊.....柊、どうして私達は再会してしまったの?
「瑠樹...」
「瑠樹ちゃん...」
桃子と楓は、不安そうに私を見つめる。
「...泣いて良いのよ?瑠樹」
背中を擦ってくれてる梅の言葉の目尻に溜まっていた涙が一筋溢れ落ちた。
一度ながれてしまった涙は、次々に落ちていく。
タガが外れてしまったように、両手に顔を覆って小さな声を漏らして泣き続けた。
心の中に燻ってた何かを洗い流すかの様に。



