あの日あの時...あの場所で







「瑠樹、一人で思い詰めないで?貴女には私達がいるじゃない」

私の背中を優しく擦ってくれる梅の手は優しい。


「そうだよ、瑠樹ちゃん。そんな苦しそうな顔しないで」

眉をはの字に下げた楓が心配そうに私の顔を見る。


「無理やり聞くつもりはないけど。話す事で瑠樹の気持ちが楽になるなら教えて。何も出来ないけど、一緒に考えることは出来るかもしれない」

ありがとう、桃子。


「頼りないかも知れないけど。今にも泣き出しそうな顔をしてる貴女を放っておけないわ」

梅.....そっか、私は今、そんな顔してるんだね。


話してしまったら、この苦しさから少しは解放されるのかな?


何をどう話せば良いのかな?


自分でも分からないこの思いを、どうやって伝えたらいいんだろうか。



「この間はあえて聞かなかったけど、瑠樹はキングと顔見知りよね?」

優しく問いかけた梅に小さく頷いた。


「やっぱりね。二人の様子がおかしかったもんね」

と桃子が納得する。


「豪様も、やたらとキングの事を警戒してたもんね」

あの日の事を思い出すかの様に話す楓。


「...豪は咲留に聞いてたんだと思う」

ポツリと吐き出す。

この三人になら聞いてもらいたいと思った。



だから私はゆっくりと柊とのことを語りだした。



「柊とは...あ、キングの事ね?彼とは幼馴染みだった」

私の言葉に三人が目を見開いて固まった。


「小学校からの付き合いで三年前まで一緒だった。いつも、どんな時も二人で支え合ってた。ううん、柊が私を支えてくれてた。私達は....」

柊はいつも声をかけてくれて、いつも側で私を励ましてくれた。


柊と過ごした日々が蘇ってくる。


あの頃は、私も柊も孤独だった。


私の過去を聞いたら、この三人はどう思うんだろうか?

急に不安が襲ってくる。

愛人の子だなんて知ったら...軽蔑されちゃうかな?




「...大丈夫?辛いなら無理に話さなくても良いのよ」

言葉に詰まった私にそう声をかけてくれるのは梅で。


「ううん、聞いて欲しい」

首を左右に振った。



「私達で良いならいくらだって聞くよ。だからゆっくりでいいよ。瑠樹の言葉で聞かせて」

桃子が優しく微笑んでくれた。



「そうだよ、聞くに決まってる」

楓がうんうんと首を縦に振る。


「これだけは先に言わせて、何を聞いても私達が瑠樹の友達であることは変わらないからね」

ああ...梅は本当にいつも欲しい言葉をくれるんだね。


ありがとう。