梅に連れ出される様にしてカフェを出た。
桃子や楓も、心配そうな顔でついてくる。
笑わなきゃって思うのに....。
顔の筋肉が固まったみたいに笑うことが出来なくて。
柊の事なんて、どうでもいいはずなのに。
苦しくて仕方ないよ。
早くカフェを離れようとズンズンと歩いてくい梅の手は、温かいはずなのに今の私にはその熱さえも感じる事が出来ないでいた。
様子のおかしい私達に、護衛の三人も気づいてるはず。
話しかけては来ないけど、神妙な面持ちでついてくる。
あんなに楽しかった時間が、一瞬で崩れてしまった。
ううん、私が崩してしまった。
どうして笑えなかったんだろう。
どうして彼女達の言葉を無視できなかったんだろう。
ポーカーフェイスを作ることは得意だったはずなのに。
今の私はきっとそれさえできてない。
ズキンズキンと痛むのは胸だけじゃない。
柊.....貴女を忘れることなんて出来ないんだろうか?
どうして、貴女が触れるのは私以外の人なんだろうね?
「瑠樹、大丈夫?」
私の顔を心配そうに覗き込む梅。
「...えっ..あ、うん」
我に返った私は、どこかの部屋に居ることを知る。
キョロキョロと見渡すとそこは何かの施設らしくて。
テーブルとそれを囲むように配置されたソファーと、正面はステージのようなものがあり大きなモニターが壁に埋められていた。
ここはどこだろうか?
「ここはカラオケボックスだよ」
首を傾げていた私に対面のソファーに座る桃子が教えてくれた。
「瑠樹ちゃんが今にも泣きそうな顔してたから、取り合えず入ったの」
桃子の隣に座る楓が心配そうな顔でそう言った。
「...そっか..ごめんね?」
心配させて。



