「キングの荒々しいセックスが忘れられないわ。全てを支配される感覚に酔わされる」
彼女の言葉に、胸がズキズキ痛む。
柊は、あの優しかった手でこの彼女に触れたんだ。
もう関係ない人のはずなのに、どうしてこんなにも苦しいの。
「何度もイかされたわ。側で眠ることは許されなかったけれど、私は満足よ」
誇らしげに口角を上げた彼女を、他の女の子達は羨ましそうに見つめてる。
彼女の言葉の意味が分からないほど、私も子供じゃない。
それに...経験がない訳でもない。
柊と連絡が取れなくなって、彼が私を切った事実に押し潰されそうになった私は苦しさのあまり自暴自棄になった。
そんな時に...柊の居ない寂しさを補おうと.....一度だけ人肌を求めた事があった。
.....そう言う意味では私も柊と変わらないか。
好きでもない人に体を差し出したのだから。
私を大切に思う人を心の隙間を埋めるために利用したんだものね。
膝に乗せた拳を爪が食い込むほど握りしめた。
「...瑠樹、帰りましょ?」
握りしめた私の拳を自分の掌で包み込むように握ってくれたのは梅。
「...梅...」
ごめん、ポーカーフェイスが保てなかったね。
「瑠樹ちゃん、もっと楽しい所行こ」
桃子が立ち上がって微笑んでくれた。
「よし、そうと決まれば行こう」
早く早くと囃し立てるのは楓で、桃子と同じ様に立ち上がった。
「...でも、皆..」
まだ時間じゃないよ?
ケーキ食べ放題は60分でしょ?
まだ15分は残ってるよ。
「良いのよ。もう誰もこれ以上は食べられないわよ」
ね?と桃子と楓に同意を求めた梅。
「そうそう、もうさすがに入らない」
と桃子。
「うんうん、限界まで食べた」
と楓。
皆の優しさに甘えて言いかな?
もう、彼女の話は聞きたくない。
「さ、行きましょ」
梅が私の手を引いて立たせてくれた。
「...うん」
素直に頷いて立ち上がった私は、梅の誘導のまま席を離れた。
彼女達の側を通るときに聞こえた会話に、私は心は締め付けられた。
「でもさ、キングはコンドームをしてても絶対に中で出さないってのは本当だったわよ。イク寸前に抜かれたし」
「キャハハ...三沙(ミサ)でも駄目だったのぉ?じゃ、今日は私が呼ばれたから抜けないように締め付けてみるわ」
「えぇ~三沙の次は絵里なのぉ」
羨ましがってた女の子が、再び羨ましがってる姿を一瞥して、私はその場を後にした。
柊は.....噂通り日替わりで女の子を抱いてる。
その事実に息が苦しくなった。



