あの日あの時...あの場所で











「随分食べたなぁ。もう糖分が怖い」

お腹をポンポンと叩く楓。


「私は体重計が怖いよ」

自分の両肩を抱いた桃子。


「節度を持って食べないからよ」

スパンと言い捨てるのはもちろん梅で。



「梅の意地悪ぅ」

いやいや、梅の意地悪じゃないと思うよ、楓。


10個以上食べた楓が問題な気がする。



「明日、一緒にダイエットしよう」

桃子が隣に座る楓の手を握る。


「うん、しよう!」

もちろん、楓もその手を握り返した。


堅く誓い合う二人を苦笑いで見ていた私に聞こえてきたのは、直ぐ側のテーブルについさっき座った女子グループの声。



「ねぇねぇ、昨日、キングに抱かれたんでしょ?」

ケバケバしい女の子が、茶髪の女の子に問いかける。


思わず顔を向けてしまったのは、キングと言うフレーズのせい。


「...瑠樹」

心配そうに私の顔を見た梅に、力無く笑って見せた。


この間、水着を買いに行った時にキングと接触したことを知ってるから心配してくれてるんだよね?


桃子と楓も、心配そうな顔をして私へと視線を向けてる。


ごめんね?あれから何も説明してないのに、こんな風に心配してくれるんだね。



「...うん、大丈夫」

これ以上、心配かけない様に普通を装うよ。



「うん、抱かれた」

茶髪の女の子が嬉しそうに微笑んだ。


「良いなぁ。次は私と遊んでくれないかなぁ」

「チャンスはあるわよ」

「そうよね、あの女が居なくなったし」

「そうそう、彼女面してたあの女は追放されたものね」

キャハハと下品に笑う女の子達の声が、やたらと耳障りだった。



「でもぉ、最近のキングは前より付き合い悪いのね?」

「でもぉ、たまにでも抱いてくれるならいいんじゃない?」

「ま、そうよね?あんな極上の男に抱かれたってだけでステータスよね」

あぁ...耳障り。

そう思うのに、ズキズキ胸が痛むんだ。


柊...どうして?

そんな風になってしまったの?
 

柊に抱かれたのだと言う女の子をぼんやりと見つめた。

胸まである茶色い髪、濃い目の化粧に大人びた顔付きの綺麗な人。


私とは正反対の彼女は、友達に自慢するように柊に抱かれた様子を話始める。


苦しいのに...聞きたくないのに、頭に響いてくる。