あの日あの時...あの場所で







「違うし」

キッと健を咲留の肩越しに睨む。



「へっ?」

間抜けな顔しないで。



「瑠樹、俺はお前が彼女でもバッチコイだ!」

ヨシヨシと私の背中を擦る咲留。

バカだ、ここにバカがいる。



「冗談じゃないわよ。近親相姦なんて、バカじゃない」

バシッと咲留の背中を叩く。


「えぇ~お兄ちゃんショック。瑠樹に充分反応するぜ。うちの息子」

えぇ~じゃないし、妹相手に下ネタかましてんじゃないわよ。



「咲留、それは流石に引くぞ?」

ちぃ君が青ざめて咲留を叱咤する。


「どうしてだよ?こんなに可愛いんだぜ?反応もするだろ」

しねぇよ、普通は。


「キモい事ばっかり言ってたら、嫌いになるからね。ちぃ君、ヘルプ」


咲留を睨み付けて、ちぃ君に両手を伸ばした。



「おう。おいでおいで。変態兄貴に汚される前に」


ちぃ君は私の両脇に手を入れると咲留から奪ってくれる。


ま、ここでも縦抱きされる訳だけども。



そろそろ下ろしておくれよ。




「あぁ~瑠樹が奪われるぅ」

泣き真似キモい。


咲留って普通にしてたら格好いいのに、こんな所残念なのよね。



落ち込んで項垂れる咲留。


空気の読めないらしい健は、咲留の肩を揺する。


「えっ、えっ兄妹なのか?」


「うっせぇ。だったら悪いか!」

咲留は怒りを健にぶつける事にしたらしい。


健をギンッと睨んだ咲留は、ゲシゲシと健の足を蹴る。



「痛い、痛いってば」


涙目の健。

ああ、可愛そうに。



「ほら、バカは放っておいて行こうな?」

ちぃ君は、私を抱き抱えたまま倉庫のドアをくぐった。



「そろそろ下ろそうか?」

と言ったのに、


「抱き心地良いから無理」

とか言われた。


いやいや、私は人形じゃないですよ。


ちぃ君も咲留と同じぐらいの身長だから、私の事を子供みたいに抱っこ出来るだろうけどさ。


いくら小さくても私はもうすぐ18歳になるのだよ。