あの日あの時...あの場所で








「豪は保護者っぽい」

背後にいる豪にもたれたまま、波打ち際に目を向けてポロっと漏らした。


「...保護者ってんだよ?」

不機嫌な声が聞こえた。


「あ...聞こえてた?」

上向きに顎を上げて豪を覗く。

ちょっと首痛いけど。


「聞こえてるっうの。俺はお前の保護者って立ち位置になるつもりはねぇぞ?」

やたら真剣な声が聞こえて、ちょっと寂しくなった。


豪の事、第二のお兄ちゃんだと思ってたし。



「...そっかぁ..残念」

自然と眉が下がった。


「...はぁ..落ち込むな」

豪はやるせない溜め息をついた後、空いてる方の手で私の頭を撫でた。


「は~い」

フフフと笑った。

やっぱり豪の大きな手は凄く安心する。



「ま、良いか。仕方ねぇから瑠樹のスピードで進んでやる」

「何が?」

意味分かりませんけど?

首を傾げた。


「ムカつくぐれぇ、鈍感」

と冗談ぽくなじられた。


な、なぜだ?


ま、良いや、豪だし。




「悪い、少し寝るわ」

豪の腕から解放される。

さっきから飲んでるアルコールがきっと回ってるんだと思うなぁ。



「了解」

と敬礼してから、隣のビーチチェアーに座り直した。


豪は腕をひさしにして目を瞑る。



私はそれを見てから背もたれに体を預けて、海から上がってくる少し冷たくなった海風に体を任せた。



バスタオルをお腹の辺りにかけて私も目を瞑った。


テントの下の日陰はちょうど良い具合に紫外線の直接攻撃から私の体を守ってくれてるし。


さっき海に浸かったから少し疲れちゃった。


ちょっとだけ眠っちゃお。


隣から聞こえる豪の規則正しい寝息に誘われて、夢の世界へと足を踏み入れた。