「瑠樹、身を乗り出すな。鉄板が危ねぇ」
その声と同時に腰に回ってきた腕は私の体を後ろへと引き寄せた。
「...豪?」
意味が分からず首だけ振り向けば、
「下の鉄板に体が触れたら大変なことになんだろ?お前の白い肌に傷でも付けたら、咲留さんに殺される」
豪の視線の先、どうやら私はも少しでお腹の辺りに鉄板に鉄印を押される所だったらしい。
「ごめん。気付いてなかった」
「やっぱりな?」
はぁ...と溜め息をつかれた。
危険を察知して、急いで来てくれたらしい豪に感謝しなきゃね。
「タオル、こいつに渡すのか?」
掴んだ私の手からタオルを取ると、ハチマキのお兄さんへ目を向けた豪。
「.....」
ハチマキのお兄さんは豪を目の前に完全に萎縮してる。
だって、直立不動に立ってるし。
「うん、そう。汗だくで頑張ってくれてるし。」
凄く暑いのに、必死にお肉を焼いてくれてるんだもん。
「そうか。おい、幹夫(ミキオ)、瑠樹からだ」
豪はハチマキのお兄さん事、幹夫君にタオルを手渡した。
「えっ、は...はい、ありがとうございます」
そんなに頭を下げられても。
ほらほら、鉄板に頭当たっちゃうから。
「幹夫君?」
「は、はい、水森幹夫(ミズモリミキオ)です」
「瑠樹です。よろしくね」
フフフと微笑んだら、周りのメンバーがおぉ~!と騒ぎだした。
後で聞いたら、幹夫君は同じ年で、なんと実家が焼き肉屋さんだった。
どうりで、お肉を焼くのが上手いはずだ。
幹夫君にタオルを渡すと言うミッションを終えた私は、その場に居た皆にバイバイして、元の場所へと豪に連れ戻された。
「豪、ベタベタするから離してぇ」
豪は何を思ったのか、私の腰を抱いたまま椅子に座った。
ビーチチェアーをベッドタイプにしてあったから、並んで座ることは出来るのだけど、いかんせん暑い。
この暑さの中でくっつく意味が分かんない。
「無理。お前一人にしておくと色んな意味で危ねぇし」
「いや、あれはたまたまだし」
いつも危なくないし。
だいたい、このテントの側には王凛のメンバーも、沢山いるので危険はほぼないと思う。
夏樹達が撃退した女の子達とは、また違う女の子が遠巻きに集まってはいるけど、ここまで来たりしないだろうしね。
睨まれるぐらいじゃ、危険はない。



