バーベキューコンロの前まで来るとその暑さが凄く分かった。
上からの陽射しと鉄板の熱、ここは地獄の釜のようだ。
「姫、何か欲しいものでも?」
やって来た私を不思議そうな顔で見るハチマキのお兄さん。
「あの、これ良かったらどうぞ」
差し出したのはさっき取ってきたソーダ。
「えっ?あ...っと..俺にですか?」
軍手をはめたら指で自分を指す。
「うん。暑い中、一人で頑張ってくれてるから。喉乾いてるんじゃないかと思って。迷惑だったかな?」
小首を傾げた。
もしかして、余計なお世話だったかな?
「とっ...とんでもない。あ、ありがとうございます」
差し出したソーダを受け取って勢いよく頭を下げてくれた。
「いやいや、お礼を言うのは私だし。暑い中、美味しいお肉ありがとう」
座ってるだけで、美味しく焼けたお肉を運んで来てくれるんだ。
もちろん、お兄さんが頑張ってくれた美味しいお肉をね。
「あ、そ、そんな...俺、バーベキュー得意なんです。あ、えっと気にしないでください」
ドングをふりふり説明してくれる。
この人結構面白いかも。
「あ、良かったらこれ汗拭きに。さっき、氷水がついたから冷たくて気持ちいいかも」
持ってたタオルをお兄さんの額に当てようと手を伸ばした。
「えっ、う、いや、それはちょっと...」
なぜか顔を赤くして抵抗された。
そんなお兄さんを見て、周りのメンバーがヤンヤと囃し立てる。
ん?嫌だったのだろうか?
「ダメだった?」
拒否されるとちょっと寂しい。
「あ...ち、違います、そんなんじゃなくて....あっ!」
焦ってたお兄さんが、急に私の背後を見て固まった。
囃し立ててたメンバーも、水を打ったように静かになった。
「どうかした?」
とか言いつつお兄さんの隙をついて再びタオルを額に当てようと手を伸ばした。
だけど、その手は届く前に後ろから伸びてきた手に掴まれてた。



